Gyro Cupは全国27のユーザー会を 9ブロックに分け、選出された 9名の代表者と 3名の推薦枠、合計12名のファイナリストがMRIのテクニックを競い合う大会です。Gyro Cupは2010年に第 1回が開催され、今年で 8回目を迎えます。これまで多くの発表が行われ、いずれの演題も “創意工夫”、“画質”、“臨床的実用性” をあわせ持ったアイディア溢れる内容が報告されています。現在では、Gyro Cupのコンセプトが海外にも受け継がれ、世界規模の大会へと発展しようとしています。
Gyro Cupから発信されたアイディアはMRIの新しい手法の発展に大きく寄与し、インパクトある臨床応用へと繋がっています。今後のさらなるアイディア溢れる発表に大きな期待が集まっています。
第8回目となるGyro Cup 2024を2024年9月に開催することが決定いたしました。
今回は3大会ぶりとなる現地での開催を、第52回日本磁気共鳴学医学会大会の初日プログラム終了後に行います。
先生方のさまざまな創意工夫やアイデアをご発表いただく場として準備を進めてまいります。
開催日時:2024年 9月 20日(金)18:00~21:00(予定)
※第52回日本磁気共鳴医学会大会の初日プログラム終了後の開催を予定しております。
2024 年 9月20日に開催予定の Gyro Cup 2024では、フィリップスのMRI 装置を使用したユニークな撮像アイディアやテクニックを募集します。全国の予選会へ向けた演題応募方法をご案内いたします。皆さまからのご応募を心よりお待ちしております。
予選会開催時期:2024年 5月~ 6月
* 予選会(全国9ブロック)はブロックごとに日程・会場等が異なります。こちらは各ブロックにて別途ご案内いたします。
フィリップスMRI装置を使用した撮像アイデアや撮像テクニックなどの創意工夫に関する発表。
Gyro Cupは学会・研究会ではございませんので、理論の裏付け等は必須ではございません。皆さまが日ごろ使っている創意工夫をご発表ください。
「演題応募フォーム」ボタンよりご登録ください。
* 応募の際には予選会で発表いただくスライドの登録は不要です。スライドの登録につきましては、予選会のご案内時に提出方法等をご連絡いたします。
* Gyro Cup 2024本選での発表時間は7分間です。
*フォーム送信後に入力いただいたメールアドレスに確認メールをお送りします。確認メールが届かない場合はお手数ですが、Gyro Cup 2024 運営事務局(gyrocup.japan@philips.com)までご連絡ください。
全国9ブロックで実施される予選会において代表者(ファイナリスト)を決定いただきます。ファイナリストから漏れてしまった演題の中から実行委員による推薦枠として3演題を選出します。
* 予選会日程については各ブロックにて別途ご案内いたします。
お問い合わせ
応募方法に関してのご質問は、Gyro Cup 2024 運営事務局(gyrocup.japan@philips.com)までご連絡ください。
Gyro Cup 2022が2022年10月15日に無事終了いたしました。これも、ご視聴してくださった皆さま、惜しくも本選には出場できなかった予選会に応募くださった皆さま、12名のファイナリスト、特別審査員の先生方、そしてフィリップスを支えてくださるすべてのユーザーの皆さまのおかげです。誠にありがとうございます。
今回は応募総数50演題と過去最高の演題数となりました。その中から選ばれた12名のファイナリストの先生方による熱き戦いとなりました。Awardを受賞された先生方の発表内容をご覧ください。
推薦枠:東関東ブロック
村山 大知 先生
千葉メディカルセンター
DWI撮像においては、脂肪抑制を併用しないと脂肪がケミカルシフトを生じるためアーチファクトの原因となります。そのため、Pre-pulseとしてSPIRやSPAIRを用いることにより、このアーチファクトを回避することができますが、デメリットとしてSNRの低下、MT効果の増加、撮像時間の延長等があげられます。
3T装置においては、90°パルスと180°パルスの極性を逆に印加することにより脂肪抑制効果が得られ、ケミカルシフトアーチファクトを抑制することができます。今回村山先生はそこに着眼され、脂肪抑制パルスを抜いてもアーチファクトのない画像が得られる「LION DWI」を考案されました。
Pre-pulseがないことによるMT効果の低減によって、白質と灰白質のコントラストが安定するため、脳炎やヤコブ病などの灰白質が高信号になるような疾患の検出能が向上します。
SNRもSPAIRと比較して1.4倍となるため、高分解能化や加算回数の低減による短時間化も可能となります。
また、High b-valueのDWIにおいてもメリットを生かすことができ、例えば前立腺などでb1500のDWIを4分程度で撮像している条件であれば、半分の2分程度で撮像することも可能と報告されております。また、ADC値も問題なく評価できるとご報告されています。注意点として、骨盤部で広範囲をLION DWIで撮像する場合にはアーチファクトが生じやすいのでFOVを小さくし、Over Samplingを前後方向を加えることで回避できます。さらにTSE DWIでも使用可能で、通常SNRを担保し難いTSE DWIにおいても高いSNRを活かし、短時間で撮像できるようになるメリットがあります。
このようにLION DWIはさまざまな使い方ができるため、各領域でお使いいただける撮像方法です。
* 1.5TではLIPOのパラメータがないため、ご使用いただけません。
北海道ブロック代表
伊原 陸 先生
小樽市立病院
3D MRCPの撮像には、TEが600ms前後のHeavy T2 TSEを呼吸同期や横隔膜同期で撮像する方法が一般的に用いられます。この方法はある程度ゆっくりで安定した呼吸下では綺麗に撮像できますが、一度の呼気中に撮像するShotが約1000msと長く、不安定な呼吸の場合にはShotが吸気にもかかってしまい、モーションの影響を受けた画像となる場合があります。
そこで伊原先生は、コントラストを維持しつつShotを短縮してモーションアーチファクトのリスク低減を図るため、TPT MRCP (T2 Prep-pulse Combined Turbo Spin Echo MRCP) を考案されました。T2prepはT2値の短い組織の信号を抑制するプリパルスであり、主に冠動脈撮像などで用いられる技術です。この効果をMRCPに活用することで、Shotの短縮のためTEを短く設定した際にもHeavy T2のコントラストを維持することが可能となります。
しかし、パラメータ設定としては一般的な3D TSEにT2prep pulseを併用することができません。そこで、通常はBlack Blood効果を得ることを目的とするiMSDEを利用し、VENCを0cm/secと入力することでT2prepと同様の効果を得ることを実現しました。これにより、Shotを約300ms程度まで短縮してもHeavy T2のコントラストを得ることが可能となり、速い呼吸や不安定な呼吸においても画質が向上します。
さらに、Shotを短縮したことによるブラーリングの改善、TEの短縮による濃縮胆汁の描出や呼吸同期不良の際の息止め設定も可能となり、まさに万能性を備えるシーケンスとなります。
* iMSDEはBlack Blood Imagingのオプションソフトウェアです。
九州ブロック代表
立川 圭彦 先生
日本赤十字社 唐津赤十字病院
MRCPの検査時に、患者の呼吸が速い、バラバラで安定しない、息止めができない、息止め不良といった経験をされていませんか?このような場合、従来法の3D TSE naviやGraSE BHを撮像しても、満足な画像は得られません。立川先生はどのような状況にも対応可能で、膵管の末梢や胆のう管、肝内胆管までクリアでシャープなMRCP画像を得る方法を考案されました。
まず、TSE factorを半分に、Profile orderをlinear/Yからlinear/radialへ変更することで、Shot時間を短縮し動きに強くしましたが、コントラストを決定するequiv.TEも短縮してしまい背景信号が目立つ画像となってしまいます。冠動脈撮像などに用いられるT2prepが使用できれば、T2値の短い背景信号を抑制し、T2値の長い膵管等のコントラストを維持できますが、一般的な3D TSEには併用できません。そこで、立川先生はiMSDEを応用することを考案されました。
iMSDEはBlack Blood効果を得るため、Motion Sensitive Gradient MSGを使用して血流信号を抑制しますが、VENCを0cm/secに設定することで、T2prep と同様な効果を実現しました。しかし、Shotが短い条件でも、不安定な呼吸データが収集されるとボケた画像になることがあります。ここで、さらにもう一工夫として呼吸同期に横隔膜同期のGate and Trackを併用することを考案されました 。
これにより撮像中の乱れた呼吸は排除し、Window内に入る一定の呼吸データのみを収集することが可能となり、幅広い患者さんに適応した唯一無二の撮像法としてご発表いただきました。
このユニークな撮像法は、Short shot duration with background noise suppression using iMSDE preparation Respiratory compensation to eliminate unnecessary respirations. 「SNIPER」と名付けられました。
* iMSDEはBlack Blood Imagingのオプションソフトウェアです。
西関東ブロック代表
高野 晋 先生
東海大学医学部付属病院
椎骨脳底動脈乖離の検査では、T1w、T2w Black Blood Imageを撮像することがあります。通常は4分26秒で撮像しているプロトコールになりますが、分解能の変更や高速撮像技術を併用せず撮像時間だけを2分1秒に短縮するというアイデアを高野先生が発案されました。さらに、とてもユニークな方法でT1w、T2w、PDwのコントラストを得る方法を考案されました。
このアイデアには3つのポイントがあります。
① Echoesを3に設定することでMulti Echo法を利用、② DRIVEをYesに設定、③ Profile Orderはlow-highに設定することです。また、3D VISTAではShotの最初が不安定な信号になるため、Startup Echoesを2に設定します。さらに、Scan Percentage (%) はTSE factorとSENSE factorにより変動しますので、設定したScan Percentage (%) になるようにTSE factorとSENSE factorを調整します。Geometry Tabは撮像領域、検査に合わせて自由に設定することが可能です。しかし、この撮像方法ではPDwとT2wを得ることはできますが、T1wを得ることはできません。そこで高野先生はPDw (First TE) からHeavy T2w (Last TE) を差分するこでT1w Like Imageを得るというとてもユニークな方法を考案されました。これにより、一度の撮像で3つのコントラストを得るという「コントラスト革命」を起こされ、この撮像方法に「Change contrast with Multi Echo of Low-high Encoding at One scan CHAMELEON」と名付けられました。
また、このアイデアによるT1w Like Imageが通常の3D VISTAによるT1w imageと比べ、コントラストに違いがないかをファントム撮像により実証され、その結果CHAMELEONは通常のT1w Imageと非常に良く似たコントラストを示す結果となりました。
CHAMELEONはIso Voxcelで設定することにより、多断面再構成可能なマルチコントラストが一度に得られ、頭部や骨軟部領域への応用も可能な優れたクリニカルアドバンテージをもつ撮像方法となります。
北海道ブロック代表
伊原 陸 先生
小樽市立病院
東北ブロック代表
小瀬川 衣里 先生
岩手県立中部病院
東関東ブロック代表
宮下 修二 先生
水戸済生会総合病院
東京ブロック代表
椎名 勲 先生
東京女子医科大学病院
西関東ブロック代表
高野 晋 先生
東海大学医学部付属病院
中部ブロック代表
森原 拓也 先生
日本赤十字社愛知医療センター名古屋第二病院
関西ブロック代表
重永 裕 先生
兵庫県立がんセンター
中四国ブロック代表
多智花 健太 先生
徳島赤十字病院
九州ブロック代表
立川 圭彦 先生
唐津赤十字病院
推薦枠:東関東ブロック
村山 大知 先生
東千葉メディカルセンター
推薦枠:東京ブロック
斎藤 駿 先生
杏林大学医学部付属病院
推薦枠:中部ブロック
寺林 諒 先生
三重県立総合医療センター
特別審査委員長
福倉 良彦 先生(川崎医科大学 放射線画像診断科)
高原 太郎 先生(東海大学工学部 医用生体工学科)
梶田 公博 先生(岐阜大学医学部附属病院 放射線部)
五月女 康作 先生(福島県立医科大学保健科学部 診療放射線科学科)
森田 康祐 先生(熊本大学病院 医療技術部 診療放射線技術部門)
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