2012 年 9 月 7 日、京都府京都市のグランドプリンスホテル京都にて開催されました。
42 演題のエントリーから選抜された各ブロックの 10 名の代表者と、2 名の推薦枠における計 12 名のファイナリストの先生方により、アイディア溢れるテクニックが発表されました。
推薦枠
中村 理宣 先生
八重洲クリニック
従来の非造影 MRA には、TOF 法や PC 法を用いた MRA や、TSE シーケンスを用いた TRANCE 法、balanced シーケンスを使用した MRA などがありました。今回、中村先生は全く新しい非造影の MRA を考案されました。 その方法とは、頭部領域にて白質画像(WM only)や灰白質画像(GM only)を選択的に描出する際に用いる Dual IR シーケンスを VISTA に併用した MRA です。MRA においては動脈以外の背景信号を抑制することは重要です。そこで、Dual IR シーケンスを使用することで、実質組織と水信号の Null point が合致するタイミングを模索し、見事抑制することに成功しました。 動脈血に関しては、常に新しい血液が流入してきますので、高い信号を保持することができますが、静脈血に関しては血流が遅いことから実質組織のように停滞していますので、低信号となります。これにより動脈と静脈を選択的に描出することが可能となります。また、VISTA を使用していることから、磁化率や乱流の影響にも強いということで、頸部などにも有用です。 撮像条件は、1.5T にて TR = 3000ms で、頭頸部領域においては 1st TI = 1800ms、2nd TI = 400ms となります。上腹部・骨盤部領域では抑制する組織も頭頸部領域とは変わってくるため、1st TI = 1980ms、2nd TI = 180ms となります。この条件を用いることで、今までにない新しい非造影MRAを撮像することが可能となります。
神奈川ブロック
西尾 広明 先生
東海大学医学部付属病院
Arterial Spin Labeling(ASL)法を利用して、空間分解能を上げることで、血管の血流動態を把握する CINEMA-STAR という MRA が発表されています。CINEMA-STAR は Release 2.6 以上で ASL のオプションが必要であり、なおかつ 2D の TRA 断面のみでの撮像しか出来ないこともあり、いくつかの制限があります。 より簡便に血流動態を把握できないかと西尾先生が考えられたのが、TFE の pre-pulse の Saturation pulse を使用した 4DMRA です。Saturation pulse を印加したのちに、Multi Phase で撮像を行うことで、流入してくる血流状態を時間軸で経過観察をすることが可能となります。この際、TFE pre-pulse の Shared を Yes にします(Release 8 からの心臓オプションです)。 この 4D MRA は 3D で撮像することが出来ますので、後処理にて任意断面で再構成することが可能となります。ASL を用いた CINEMA-STAR では 2D のみであったため、この手法を用いること、3D に時間軸をプラスした 4D として血流状態を観察することができます。 3D-T1TFE をベースとし、背景信号は Saturation pulse で抑制することで流入効果を利用し、さらに Multi Phase で撮像することができる inflow 4DMRA は、血流動態を 4D で観察することができる有用な手法です。
中部ブロック
高橋 護 先生
聖隷三方原病院
PC 法の Phase 画像を用いて血流解析をしようと、心周期と同期させて Multi Phase の PCA を撮像したところ、FFE/M(サブトラクション前の FFE 画像)とPCA/A(サブトラクション後の MRA 画像)、PCA/P(位相画像)の 3 種類の画像が表示されていることに気づかれました。本来必要としていたのは PCA/P の位相情報を含んだ画像でしたが、高橋先生は PCA/A の画像において、すべての時相で MIP したところ、血管の動態評価を観察することができたのが、この撮像方法(3D cine PCA)を見つけるきっかけでした。 実際に 3D cine PCA をさまざまな部位で撮像したところ、心周期に同期させることで、多くの情報を得ることができました。 また、腹部大動脈瘤では瘤内の血流変化を捉えることができ、胸部大動脈解離では、真腔から偽腔へ向かうジェットを高信号で描出することや、偽腔内の信号が遅延する状態など経時的変化もしっかりと捉えることができます。3D-PCA を Multi Phase で設定するだけで撮れる簡便な撮像方法です。
例えば、収縮期にタイミングが合った時相では、高信号で良好な MRA を得ることが出来ますし、鎖骨下動脈を一般的な TOF 法を用いた MRA と 3D cine PCA で比較したところ、速い血流状態を有する心周期はほんのわずかしかないため、流入効果を利用した TOF では信号が安定して得られませんが、3D cine PCA では最も流速の速かったわずかな時相も捉えていますので、高信号に鎖骨下動脈を描出することが可能となります。
北海道ブロック代表
岡 雅大 先生(北海道/砂川市立病院)
東北ブロック代表
立石 敏樹 先生(宮城県/仙台医療センター)
北関東ブロック代表
那須 克宏 先生(茨城県/筑波大学医学部附属病院)
東京ブロック代表
米山 正己 先生(東京都/八重洲クリニック)
神奈川ブロック代表
西尾 広明 先生(神奈川県/東海大学医学部付属病院)
中部ブロック代表
高橋 護 先生(静岡県/聖隷三方原病院)
京滋・北陸ブロック代表
池野 康寛 先生(京都府/京都府立医科大学附属病院)
関西ブロック代表
大西 宏之 先生(兵庫県/王子会神戸循環器クリニック)
中四国ブロック代表
景山 清博 先生(岡山県/一陽会 原田病院)
九州ブロック代表
丸山 裕稔 先生(長崎県/長崎医療センター)
推薦枠
中村 理宣 先生(東京都/八重洲クリニック)
推薦枠
北 美保 先生(大阪府/東京逓信病院)
赤澤 健太郎 先生(京都府立医科大学附属病院)
川光 秀昭 先生(神戸大学医学部附属病院)
高原 太郎 先生(東海大学)
田渕 隆 先生(倉敷中央病院)
丹治 一 先生(北福島医療センター)
土井 司 先生(大阪大学医学部附属病院)
室 伊三男 先生(東海大学医学部付属八王子病院)
You are about to visit a Philips global content page
Continue