2018 年 9 月 7 日に第 5 回目となるフィリップス MRI ユーザーズミーティングの全国大会 “Gyro Cup 2018” が ANA クラウンプラザホテル金沢にて開催され、311 名の先生方にご参加いただきました。
全国各地で開催された各ブロック予選での熱戦を勝ち抜き、その中から選抜された各ブロックの 10 名の代表者と、2 名の推薦枠における計 12 名のファイナリストの先生方により、アイディア溢れるテクニックが発表され、2018 年の “Gold Award”、“Silver Award”、“Bronze Award”、そして審査員特別賞の “Special Award” が決定いたしました。
ご参加いただいた先生方にとっても、地域を越えた多くの情報が共有され、大変有意義な会となりました。
北海道ブロック代表
大浦 大輔 先生
小樽市立病院
腕神経などの検査をするときにはオプションで 3D NerveVIEW を購入する必要があり、費用の観点から購入できない場合もあります。この撮像条件では神経は特異的に高信号で描出されますが、T2 prep pulse の影響で筋肉などの背景組織を描出する事ができないため、急性期の信号をとらえることが困難です。また、3D VISTA であるために撮像時間が長いという欠点がありました。これらの欠点を改善するために ASAPPSS-Nerve を考案されました。 これらの組み合わせにより、従来法よりも検査時間が短縮され、椎間孔を通る馬尾神経も描出可能となり、新しい診断の可能性もあるとのことです。
この手法の設定ポイントは 4 つあります。
東関東ブロック代表
坂井 上之 先生
東千葉メディカルセンター
頭部検査の中で FLAIR は病変検出能が高いために必ず撮像しますが、撮像時間が長く体動の影響を受けやすい欠点もあります。体動は MultiVane で対応することも可能ですが、撮像時間の短縮は難しいため、救急のような状態の悪い患者様では評価ができない場合があります。これらの欠点を解決するために Snap-Shot FLAIR を考案されました。この方法は、single shot FLAIR を用いますが、設定のポイントは 6 つあります。 これらの設定ポイントのほかに磁場強度の違いもあります。
3.0T では IR 励起不良を回避するために設定スライス枚数から 2 枚多く設定します。また、励起順番を HF、flowcompensation を sensitized に設定することで、より安定した撮像を可能とします。この手法を用いることによって FLAIR が約 1 分半で撮像可能となり、臨床において有用であることを示されています。
関西ブロック代表
重永 裕 先生
兵庫県立がんセンター
臨床現場において動きを抑制することは非常に重要で、Multi Vane を用いると解決可能です。この撮像に脂肪抑制を入れて頚部領域を撮像する場合には磁化率の影響を受ける場合が多々あるため、mDIXON を併用することで均一な脂肪抑制画像を得ることができます。しかし、mDIXON に Multi Vane を併用する場合には shot per blade が 1、TSE factor が 16 以上のみ設定が可能なので、撮像は T2 強調画像に制限されます。T1W を設定する場合には TE を短くしなければならないので、TSE factor を少なくする必要があり、blade 幅を広くするには shot per blade を変更できないため TSE factor を増やす必要がありますが、相反することのため従来は撮像できませんでした。しかし、この制限の中でも T1W の Multi Vane と mDIXON を併用した撮像を可能にする方法を考案されました。 これらの設定を行うことにより造影後のコントラストを担保しながら動きの抑制が可能となり、診断能向上に寄与することが可能となります。
この方法における設定のポイントは3つあります。
西関東ブロック代表
渋川 周平 先生
東海大学医学部付属病院
EOB 検査の肝細胞相の e-THRIVE で呼吸停止ができない場合には、IR を併用した呼吸同期 e-THRIVE や NSA を増やして SMART 併用した e-THRIVE で自由呼吸下の撮像する方法があります。しかし、同期の場合には撮像時間の延長や自由呼吸下では画像にボケを生じる課題がありました。呼吸停止時間を短くするために呼吸を分割して撮像する方法もありますが、わずかでも呼吸停止をする必要があるために意思疎通が難しい患者様では現実的ではありません。これらの欠点を解決するために新たな横隔膜同期 T1 強調画像を考案されました。
呼吸同期の T1 強調画像は、撮像を行わない間で組織の縦磁化が回復してしまうために T1 コントラストが得られません。しかし、acquisition time を増加させれば後半の信号はT1コントラストに近い信号になっていると考えられました。この状態を作り出すために TFE factor を増加させれば acquisitiontime が延長しますが、turbo direction の設定が y または z の場合には single shot で入力できる factor 以上の設定ができません。これを radial にすることで TFE factor が自由に入力できます。また、k-space ordering を linear にすると、初期の信号が k=0 に充填しないため、この 2 つの効果で T1 コントラストを改善できるようになり、radial の効果で信号が平均化されて artifact が低減します。しかし、factor の増加に伴って SPAIR の脂肪抑制効果が低減してしまうために、mDIXON を用いると脂肪抑制効果を安定させることができます。この手法を用いることで撮像時間の短縮や高分解能にも応用することが可能となり、呼吸停止不良の患者様においても画質を担保した検査を提供することが可能となります。
北海道ブロック代表
大浦 大輔 先生(小樽市立病院)
東北ブロック代表
髙橋 悠馬 先生(北福島医療センター)
東関東ブロック代表
坂井 上之 先生(東千葉メディカルセンター)
東京ブロック代表
池田 良弘 先生(東京女子医科大学病院)
西関東ブロック代表
渋川 周平 先生(東海大学医学部付属病院)
中部ブロック代表
荒井 信行 先生(名古屋市立大学病院)
京滋・北陸ブロック代表
中村 昌文 先生(市立大津市民病院)
関西ブロック代表
重永 裕 先生(兵庫県立がんセンター)
中四国ブロック代表
黒崎 貴雅 先生(岡山赤十字病院)
九州ブロック代表
石橋 謙吾 先生(熊本地域医療センター)
推薦枠
古牧 伸介 先生(川崎医科大学附属病院)
推薦枠
圓崎 将大 先生(宮崎大学医学部附属病院)
特別審査委員長
五島 聡 先生(岐阜大学医学部附属病院)
青山 信和 先生(琉球大学医学部附属病院)
高原 太郎 先生(東海大学)
田渕 隆 先生(倉敷中央病院)
丹治 一 先生(北福島医療センター)
堀江 朋彦 先生(東海大学医学部付属病院)
吉田 学誉 先生(東京警察病院)
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