武道のような構えで平常心を保つ - フルート奏者・柳原佑介さん
柳原佑介さんは9歳からフルートを始め、高校では多数のコンクールに入賞し、2004年から東京都交響楽団(以下 都響)でフルート首席奏者を務めています。演奏家として心がけていることは?
「ステージの上でも平常心を保つこと。そのために大切なのは“呼吸”ですね。フルートの音が硬いと感じる時は、たいてい肩に力が入って呼吸が浅くなっています。
そんなときは、ひとまず深呼吸。下腹に力を込め、その上にゆったりと上体をのせるイメージをする。肩の力を抜いて、手はふわっと包むようにフルートを構えます。すると深い呼吸になって、柔らかくのびのある音が出る。呼吸の深さと音の奥行きは比例していますね」
柳原さんのおっしゃる構えは、まるで武道の身の構えにも似ていますね。
「そうかもしれません。演奏も体を使うパフォーマンス。いかに自分の体を使いこなせるかがいい音を出すうえで大切だと考えています」
下腹に力をためて上体の力を抜く身の構えは、武道やスポーツなどで高いパフォーマンスを発揮するために取り入れられています。集中力アップにもつながるので、日常生活のここぞ!というシーンにも応用できそうですね。
柳原さんらが活躍する都響は日本を代表するオーケストラの一つで、1965年、東京オリンピックを記念して設立されました。2020年東京オリンピックでは都響も出演される機会があるのでしょうか?
「できたらいいですね。『東京・春・音楽祭』は、子どもから大人まで気軽にクラシックに親しんでもらう祭典ですが、東京オリンピックでもそんな場ができれば、演奏家としてはうれしいかぎりです」