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3 01, 2021

「睡眠時無呼吸症候群」の患者は要注意!?新型コロナウイルス感染症の罹患リスクが8倍高い研究結果

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 新型コロナワクチンの優先接種対象と見込まれている「睡眠時無呼吸症候群」。男性では40歳~50歳代が半数以上を占め*1、女性では閉経後に増加するといわれており、潜在的な患者数は500万人とされます。*2,3 いびきや日中の眠気が気になったら、セルフチェックが必要です。

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ワクチン優先接種対象の病気として挙げられている「睡眠時無呼吸症候群」

世界各地で、新型コロナワクチン接種が始まりました。日本においても医療従事者、高齢者、基礎疾患の順で接種がスタートしています。接種の優先対象となる基礎疾患は、糖尿病、高血圧、慢性の呼吸器疾患、免疫疾患などの疾患であることがニュースなどでも報じられていますが、「睡眠時無呼吸症候群」が加えられたのはご存じでしょうか。

 

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に呼吸が何度も止まったり、浅くなったりする病気で、ほとんどの場合、激しいいびきをともなうのが特徴です。SASで最も多いのが、上気道(空気の通り道)が塞がる、または部分的に狭くなることで起こる閉塞性睡眠時無呼吸症候群です。

 

たかが「いびき」と思われがちですが、いびきによる無呼吸は、いわば“呼吸不全”の状態です。重症のSAS患者の就寝中の血中酸素飽和度は、酸素濃度のごく薄いエベレスト山頂にいるときと同程度になることもあるほど身体的負担が甚大なのです。

 

いびきによる無呼吸から血液中の酸素が低下し、中途覚醒が何度も発生するので、睡眠は不十分になります。その結果、日中も眠気や気怠さを感じ、集中力が低下して事故などの原因となることも。実際、重症のSAS患者が交通事故を起こす確率は一般ドライバーの2.5倍*4ともいわれています。

 

さらに、SAS患者は、新型コロナウイルス感染症の罹患・重症化リスクが高い――という驚くべき研究結果を発表したのは、アメリカ・ノースウェスタン大学のマシュー・B・マース教授らの研究グループです。シカゴ都市圏にある10の病院の電子医療記録システムを調査したところ、基礎疾患に閉塞性睡眠時無呼吸症候群がある人は、医療機関で治療を受けている同年代と比べて、新型コロナウイルス感染症に罹患するリスクが約8倍と高く、しかも呼吸不全を発症する重症化リスクは2倍にのぼることが明らかになったのです*5。

 

この調査報告を受けて、日本呼吸器学会では新型コロナワクチンの優先対象となる基礎疾患に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群」を明示すべきとの見解を示しました。そして、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の予防接種基本方針部会の定める優先接種対象の基礎疾患に正式に加えられることになったのです(2021年2月17日時点)。

明治大学競争部・山本佑樹駅伝監督

SASは無自覚な潜在患者が多い

マシュー・B・マース教授らによる報告は、SAS患者は新型コロナウイルス感染症の罹患・重症化リスクが高くなることを示しました。しかし、SASは自覚するのが難しく、潜在的な患者数がとても多い病気です。日本国内では、SASの疑いがある人は300万人にのぼると考えられています。日本国内では、SASの疑いがある人は500万人にのぼると考えられています。そのうち、病院を受診してSASの治療を受けている人は、わずか50万人程度*6にすぎないのです

 

この現状は、ワクチンを優先的に受けられる機会を逃してしまう人が少なくないことを示しています。

 

SASの一番わかりやすい症状は「いびき」ですが、日中の眠気や倦怠感に加え、寝相が悪い、寝汗をかく、夜中に何度も起きるなども症状に加えられます。また、太り気味の人、やせていてもあごが小さい、あごや首に肉がついている人は、気道が圧迫されやすいため、SASを発症しやすいといわれます。

手嶋杏丞選手

40歳を過ぎたら、SASの簡単セルフチェックを

SASは、40代以降に発症しやすい疾患です。40歳を過ぎたら、1分間でできる簡単セルフチェック をしてみるといいでしょう。

 

ただし、上記セルフチェックでSASの疑いがあるとわかっても、「どのクリニックを受診すればいいかわからない」と迷う人は多いのではないでしょうか。睡眠時無呼吸症候群の総合情報サイト「無呼吸ラボ」では、SASや睡眠治療に詳しい1,800以上の全国のクリニック が紹介されており、安心して通える近くのクリニックを見つけることができます。

 

病院の診療では、SAS治療に詳しい医師による問診やパルスオキシメーターによる検査を行います。SASの疑いがあると診断された場合は、自宅での簡易検査、入院による精密検査など、症状に応じて検査が行われます。初診から正確な診断が下されるまでは、少なくとも約1カ月程度かかるのが一般的です。いびきが気になる人、日中の眠気に悩む人は、これを機に早めに受診することをおすすめします。

 

睡眠の質は、年齢とともに低下していくと考えられています。40歳を過ぎたら、睡眠の質を専門的に診断してくれる「睡眠のかかりつけ医」を見つけておくと、仕事のパフォーマンスを維持し、年齢を重ねるごとにかかりやすくなる病気から自分の身体を守ることにつながります。(文/麻生泰子)

 

出典

 

*1般社団法人日本呼吸器学会 .www.jrs.or.jp/

*2 Tanigawa T et al,Hypertens Res. 2004 Jul;27(7):479-84.

*3  Cui R et al,Hypertens Res. 2008 Mar;31(3):501-6.

*Am Rev Respir Dis, Driving simulator performance in patients with sleep apnea.1988;138:337-340.

*Maas MB, Kim M, Malkani RG, Abbott SM, Zee PC. Obstructive Sleep Apnea and Risk of COVID-19 Infection, Hospitalization and Respiratory Failure. Sleep Breath. 2020 Sep;29:1–3.

*6 厚生労働省 第4回NDBオープンデータ

 

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