今から47年前の1972年、世界的な科学者、経済人、教育者ら100人が集うローマクラブから『成長の限界』と題した報告書が発表されました。このまま人口増加や環境汚染が続けば、あと100年で地球の成長は限界に達するという衝撃的な内容で、物質的な豊かさを求めて成長と繁栄の道を進んできた先進国は、このとき初めて地球環境の危機に目覚めたのです。 その後、環境保全を推進しようとする先進国に対し、経済開発を優先したい途上国との対立が続いた時代もありました。しかし、経済のグローバル化が進み、貧困や格差、環境汚染が世界規模で広がり、経済と環境の両立には、持続可能な開発が不可欠であることが広く認識されるようになります。 2015年には、先進国・途上国すべての国を対象にしたSDGs(持続可能な開発目標:Sustainable Development Goals)が国連で採択され、2030年までに到達すべき17のゴールが設定されました(下図)。17のゴールは貧困や飢餓から、環境、経済成長、ジェンダーまで多岐にわたり、地球環境を守りながらすべての人の豊かさを実現していく決意が表明されたのです。 SDGsの担い手となるのは、もはや各国政府だけではありません。経済や環境に影響を与える企業、団体もSDGsの主要なプレーヤーとして注目を集めています。21世紀において成長しつづける企業は、経済的利益を追求するだけではなく、持続可能な社会の実現に貢献できることが重要な条件となったのです。 私たちフィリップスは、ヘルスケア事業のイノベーションを通じて2030年までに毎年30億人の人々の生活を向上させることを目標に掲げています。その取り組みが功を奏し、2018年にはヘルスケア製品や社会貢献活動で22億人の生活改善を達成しています。これは地球上における全人口の20%にあたります。 私たちが切り拓くのは、生活のあらゆるシーンにヘルスケアを浸透させ、病気を積極的に予防していく新時代です。さらに環境問題に向き合い、より多くの人が低コストで簡単にヘルスケアを実現できるイノベーションを実現していきます。これは、まさにSDGsが目指す未来のヴィジョンと一致するものです。次に私たちが重点的に取り組んでいる項目をご紹介します
世界の死亡原因の75%がNCD(非感染性疾患)で、なかでも生活習慣の改善で予防できる疾患が多くを占めます。私たちはこの現実に真正面から向き合い、地域における医療システムを支援していきます。また、乳幼児、妊産婦の死亡の予防に向けたプログラムもスタートしています。
世界の電気製品の廃棄物は4180万トンで、リサイクルされたのは推定650万トンにとどまります(UNU:The Global E-waste Monitor 2014)。フィリップスは2014年時点で産業廃棄物総排出量の81%を再生活用しています。また、MRIなどの医療機器の再生整備を図り、環境負荷を軽減する事業を展開しています。
世界について、そして日本について、さまざまな未来予測が描かれています。日本では、少子高齢化による人口減少をはじめ、医療費増加、平均寿命の伸長、女性活躍、AI活用などさまざまな未来予測が繰り広げられています。みなさんが想像する未来にあるのは、明るく希望に満ちた豊かな日本でしょうか。それとも、暗く低迷した日本でしょうか。 未来は、情報収集と合理的な分析による予測可能な確実性と、予測不可能な不確実性で成り立っています。そして、今を生きる私たちが「どう生きるか」「何を選択するか」で、たえず揺れ動いているものです。言うなれば、未来は私たちの想像力やパワーで変えていける可能性があるのです。明るい未来に向けて舵を取り、行動する指針となるのがSDGsの掲げる17のゴールなのです。 フィリップスはこれからも、ヘルスケアを通じて世界を豊かにする製品とソリューションを生み出し、世界の課題に向き合う社会活動を積極的に展開していきます。今後、この場においてもSDGsの具体的な取り組みや私たちの思いを伝えていきます。ぜひ、私たちと一緒に明るい未来のヴィジョンを思い描きましょう。その思いは、新たな発想となり、行動となり、未来を少しずつ変えていく力となるはずです。(文 / 麻生泰子)
フィリップスが考える、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアの「一連のヘルスケアプロセス(Health Continuum)」において、皆様の日常生活に参考になる身近な情報をお届けします。一人ひとりの健康の意識を高め、より豊かなヘルスケアプロセスの実現を目指します。