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8 15, 2020

悩みは睡眠中に解決できる?人生の問題解決力を高める「睡眠」を最大化しよう

ページを読む時間の目安: 7-9 分

豊かな人生は「良質の睡眠」から始まります。なぜなら、睡眠には問題解決や創造力を高める力が秘められているからです。研究から明かされた睡眠のメリットと、働き世代の睡眠改善デバイスを紹介します。

睡眠中の「夢」で人生が変わった偉人たち

人生のおよそ3分の1もの時間を占める「睡眠」。なぜ人間は眠るのか、なぜ夢を見るのかという謎は完全に解明されたわけではありません。しかし、最新の研究では、睡眠は心身を休めるためだけでなく、問題解決やインスピレーションにつながる可能性があることが判明してきました。

 

つまり、良質の睡眠をとることで、起きている間に生じる悩みや課題が、寝ながらにして解決してしまう可能性が高まるのです。その秘密を握るカギは「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」にあります。

 

睡眠中は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」が交互に訪れます。レム睡眠は眠りが浅い状態で、脳が活発に動いており、記憶の整理や定着が行われます。一方、ノンレム睡眠は深い眠りで脳が休息している状態で疲労回復を促し、脳をデフォルト状態にもっていきます。睡眠の大部分は、このノンレム睡眠が占めています。ちなみに、短時間の昼寝はほとんどノンレム睡眠が占めているといわれます。10〜20分の眠りだけでスッキリするのは、眠りの深いノンレム睡眠によって脳がリセットできるからなのです。

 

一方、私たちが“夢”を見るのは、主に眠りの浅いレム睡眠の最中です。レム睡眠では、今日起きたことを過去の記憶と照合したり、くっつけたり、比較していると考えられています。実際に夢の中で新発見やひらめきを得た偉人は枚挙にいとまがありません。

 

ドイツの化学者ケクレは、夢の中に互いの尾を噛み、輪のようになっていたヘビが現れて、ベンゼン分子が円環構造をしているヒントを得ました。元素周期表をつくったロシアの化学者メンデレーエフは、夢の中ですべての元素が原子量の順にきれいに並んでいるのを見て、元素の規則性を発見したといいます。

 

また、画家のサルバトール・ダリは、枕元にスケッチブックを置いて、夢で得たイメージをすぐ描き写していたといいます。さらに、ポール・マッカートニーは「Yesterday」のメロディは夢の中で思いついたとインタビューで話しています。

深い眠りのノンレム睡眠によって脳が疲労回復&リセットできるからこそ、ときどき訪れるレム睡眠で、ひらめきのスパークが生み出されるのです。

Steven Lutgendorff Profile

「睡眠」が問題解決や収入増につながる

寝ている間にひらめきや発見が生まれるプロセスは、さまざまな研究で解明されつつあります。例えば、睡眠によって問題解決力が上がることを実証した実験があります。

 

ドイツ・リューベック大学のワグナー博士は、被験者に大量の数列の穴埋め問題を出題しました。この問題の数列にはあるルールがあり、そこに気づけば簡単に解くことができます。1回目テストを受けたのち、寝てから2回目のテストに及んだグループは60%が正答し、一方、寝ないで2回目のテストに臨んだグループは20%しか正答できませんでした*1。

 

記憶は脳の中で系統立てて整理されていますが、睡眠中はこれがフリーダムな状態になると考えられています。起きているときは、ごく限られた記憶のつながりしか見い出せませんが、睡眠中は、過去から現在までに貯蔵された大量の記憶を俯瞰して、時にあっと驚くようなつながりを見つけることがあるのです。

 

さらに、睡眠は「収入」にも関わってきます。カリフォルニア大学のマシュー・ギブソンとウィリアムズ大学のジェフリー・シュレーダーは、通信会社大手の労働者の賃金と睡眠時間を比較し、睡眠時間1時間伸びるほど収入が5%上がると報告しました*2。この結果を受けて、彼らは「睡眠は仕事の効率と給料を決定する重要な要素であり、その重要性は個人の能力の差にも劣らない」と結論づけています。

 

こうした研究成果からわかるのは、問題解決や創造の分野で力を発揮し、ハイパフォーマンスな働き方をしたいなら、「よく眠る」ことが具体的なアクションとなるということです。

SmartSleepのスコア13点

働き世代におすすめの睡眠改善の最新デバイス

2018年のOECDの統計によると、日本人の平均睡眠時間は7時間22分。欧米の先進国の平均と比べると1時間ほど短く、調査した30カ国中ワースト1*3。さらに、2019年に日本生産性本部が調査した日本の労働生産性は、先進主要7カ国で最下位でした*4。今後、テレワークや働き方改革が浸透していくことで、日本人の睡眠時間や生産性も改善のきざしが見えてくるかもしれません。

 

ただし、休日にしっかり眠ったつもりでも疲れがとれないことがあるように、「睡眠時間が長い=睡眠の質が高い」とはかぎりません。とくに年齢を重ねると、睡眠の質の変化も訪れます。睡眠脳波を調べると、30代以降は20代に比べて深い眠りのノンレム睡眠が減っていきます*5。それにより、ちょっとした物音や尿意で目が覚めやすくなり、寝ても疲れがとれないという不調が生じやすくなるのです。

 

30代以降は仕事でも高いパフォーマンスや成果を求められますが、それを支えるはずの睡眠の質は少しずつ低下してしまうというジレンマがあります。こうした問題に対し、目覚めが変わった、昼食後に眠くならなくなったと使用者から評判のスリープテック機器が、フィリップスのSmartSleep です。睡眠中のノンレム睡眠の質を向上させる目的で開発されています。

 

あるいは、睡眠中のいびきの悩みを抱えている人は、睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome : SAS)の可能性を疑ってみる必要もあるかもしれません。SASは、睡眠中に呼吸が何度か止まってしまう疾患で、働き盛りの中高年に多い病気で、潜在的な患者は日本に300〜500万人いるとされる“隠れた国民病”です。

 

顕著な症状として、繰り返される大きないびきや呼吸停止があります。SASを抱える人の多くは、眠りが浅いままで、脳や肉体を回復させる深い眠りのノンレム睡眠がありません。それゆえ、日中は強い眠気、居眠り、だるさ、集中力低下を引き起こしやすくなります。また、夢を見るレム睡眠も、正常な人に比べて少ないのです。

 

SASは、生産性低下や業務上の事故につながりかねないため、最近では社員の健康管理としてSAS診断を導入している企業も増えています。気になる症状がある人は、WEB上でSASの簡単セルフチェック を行うこともできます。

30代以降は、睡眠ケアは食事や運動と並ぶセルフマネジメントの一つになります。毎日の習慣である「睡眠」の質を見直してみることは、人生の新たな可能性を広げるきっかけになるかもしれません。(文 / 麻生泰子)

参考文献

 

『睡眠こそ最強の解決法である』マシュー・ウォーカー著、桜田直美訳(SBクリエイティブ)

出典

*1 Wagner U. et. al. Sleep inspires insight. Nature 427 352–355,2004

*2 Matthew Gibson & Jeffrey Shrader "Time Use and Productivity: The Wage Returns to Sleep," Department of Economics Working Papers 2015-17, Department of Economics, Williams College.

*3 OECD Time use across the world Portal, 2018

*4 公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較 2019」

*5 Rolfwarg HP, Muzio JN, Dement WC: Ontogenic development of the human sleep-dream cycle. Science 152: 604-619,1966

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