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9 01, 2020

不調や不眠が増加!?ニューノーマル時代を生き抜く新生活習慣

ページを読む時間の目安: 3-5 分

 “ニューノーマル”と呼ばれる新たな生活様式や働き方が始まろうとしています。変化に適応して健康に保つ方法を、アーユルヴェーダの伝統医学に基づいてATHA YOGAを主宰するマニーシュに聞きました。

座りすぎが不調や不眠につながりやすい理由

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大下では外出自粛や在宅勤務が増えたことで、体調不良や不眠に悩まされる人が増えたといわれます。環境の著しい変化がもたらす不安やストレスが、体の不調となって現れているのでしょうか。

 

「精神的な影響もありますが、体を動かす機会が減ったことがあると思います。なぜなら、私たち人間は“動物”なので、動かないことが体にかける負担はじつはとても大きいのです。日頃運動していないという人でも、会社に通ったり、買い物したりする生活活動量はある程度、確保されています。ところが、急に日常生活で動く機会が激減して、自宅に閉じこもって仕事したり、テレビやインターネットを長時間見たりと座っている時間が大幅に増えてしまった。それが不調の大元になっている可能性が考えられます」

 

座っている時間が長くなることで、体にはどのような影響が現れるのでしょうか。

 

「座り姿勢は、内臓を圧迫し、全身の血のめぐりを悪くします。さらに、横隔膜が動きにくくなるので、呼吸が浅くなります。肺には、肺を動かす筋肉がなく、“呼吸筋”と呼ばれる横隔膜を中心にして周辺の筋肉によって動かされています。横隔膜には自律神経も多く集まっています。

 

ゆっくり、深く呼吸をすることで、横隔膜がよく動きます。すると、副交感神経が優位になって、内臓の働きが良くなって心も穏やかになるのですが、座ったまま浅い呼吸しかできないと、内臓の働きが低下して、代謝が落ち、だるさや疲れを感じやすくなります。また、体が緊張した状態が続くので、夜なかなか寝つけないという悪循環に陥ってしまうのです」

 

座位は体がラクな姿勢と考えられていますが、一方で大きな負担をかけていたのですね。

 

「さらに、テレビやインターネットの見すぎが、呼吸を浅くさせることもあります。テレビやインターネットは楽しい情報だけでなく、不安や恐怖心を煽る情報で溢れています。特にコロナ禍のような社会問題、災害が発生したときは、一気にネガティブな情報が増えます。人は不安や恐怖の感情にかられると、無意識的に呼吸が浅くなるのです」

ネットの見すぎが呼吸を浅くさせることも

「深呼吸」は誰でもすぐできるマインドフルネス

生きていくうえでは、不安になる出来事や怒りを感じることに遭遇することもあります。ネガティブな感情に支配されて心が苦しいときは、どう対処したらいいでしょうか。

 

「解決策は簡単です。皆さんも、これまで慌てているときや起こっているときに耳にしたことがあるはず。その答えは『深呼吸をしましょう』です。実際にやってみましょうか。呼吸しやすくするために、まず両足をしっかり床におろして、骨盤をまっすぐ立ててください。その上に背骨がすっと伸びて、頭のてっぺんが糸で引っ張られていると意識してください。アゴを少し引いて、首の後ろを伸ばすといいでしょう。

 

では、深呼吸をしましょう。ゆっくりと鼻から息を吸って、鼻からゆっくりと出していきます。2回目は、1回目より少し長くゆっくり呼吸することを意識します。大きく吸って、ゆっくり吐いて、息を吐き切るまで続けます。3回目もさらにゆっくりと呼吸します。

 

どうでしょう。少しだけ心と体がスッキリ軽くなったと感じませんか。そして、この呼吸をしている間は、不安に感じていることや心配事が頭から消えていたと思います。たった3回の呼吸でしたが、これが瞑想であり、マインドフルネスの入り口です。

 

マインドフルネスとは、すなわち“今”に心を集中させることです。不安や心配事、怒りの多くは、過去や未来に思考が奪われてしまうことで生じます。そこから気持ちを切り離して、今を生きることに集中させるのが呼吸法なのです」

たしかに、不安や怒りは「仕事やお金がなくなったらどうしよう」「なぜ、あの人は感じが悪いんだろう」などと未来や過去に向けられることが多いですね。

「だから、呼吸法を行うことで、未来や過去に散り散りになった心を“今”に集中させるのです。すると、不安や怒りはたちまち消えます。瞑想やマインドフルネスは慣れてくると、10分、30分、1時間と継続していきますが、これは今に集中する時間を伸ばしていくことで、一つの道をつくっているのです。つまり、瞑想やマインドフルネスを実践していない時間も、自然と“今”に集中できる習慣を根づかせていくのです。

 

最初から長時間集中することは難しいかもしれませんが、気づいたときに深呼吸をしてみるだけで、そこから呼吸の流れが変わっていきます。呼吸が変われば、思考も変わる。不安(過去、未来)に引っ張られないマインドが少しずつ鍛えられていきます」

動かないことが体にかける負担は大きい

ニューノーマル時代を生き抜く4つの生活習慣

これからの私たちの社会は、密集を避けたり、体調管理や衛生環境にこれまで以上に気を配る“ニューノーマル(新たな常態・常識)”の生活様式に移行するといわれています。今後、生活上でとくに気をつけるべきことはありますか。

「大切なのは、自分の生活ペースを確立し、情報や人など外との関わり方を自分でコントロールする意識をもつことです。生活習慣では下記の4つを心がけることをおすすめします」

 

〈ニューノーマル時代を生き抜く4つの生活習慣〉

①ニュースやSNSなど情報の質と量をコントロールする

テレビなどのメディアは、不安を煽るような情報で溢れています。また、SNSは、自分と同じような思考や不安を抱く人の発信が表示されるようにアルゴニズムが設定されています。不安や恐怖をあおる情報は、脳を興奮させる中毒性があります。入ってくる情報の質や量を自分でコントロールする意識が必要です。

 

②家から出て、自然に触れられる場所に行く

人間は自然の一部です。心身の健康を取り戻すには、新鮮な空気、太陽、土、草木に触れること。それだけで、おのずと元気になり、本来の自分を取り戻せます。人ごみを避けて、海、山、草原、公園など自然を感じられる場所に出かけましょう。

 

③毎日のお気に入りのルーティンをつくる

同じ時刻に起床する、起きたらベッドを整える、朝の散歩に出かけるなど何でも良いので、毎日同じ時刻に同じことをするルーティンをつくりましょう。人生は不確定で、未来をあらかじめ知ることはできません。それが漠然とした不安を引き起こします。しかし、一定のルーティンができると、次にやるべきこと・起こることが明確になるので、心が安定するのです。また、それによって食事や睡眠が規則正しく整ってきます。すると、眠りを誘うメラトニンなどのホルモンが必要なタイミングで分泌されるサイクルができ、より健康になります。

 

④大切な人と目を見て、声を聞いて会話する

家族や友達など大切な人たちと話し合う時間を意識的につくりましょう。オンラインであっても、おたがいに目を見て、声を聞いて話すことで、安心感が深まり、ポジティブなエネルギーで満たされます。おたがいの不安や悩みを打ち明け合えば、カウンセリングにもなります。

 

「1日何度でも深呼吸して“今”に立ち返り、『4つの生活習慣』で自分を大切にするスタイルを身につけましょう。そうすれば、何があっても大丈夫という心の安定が得られます。また『寝る前の安眠ヨガ』と合わせて行えば、夜もぐっすり眠ることができて心身の健康を維持することができます」

 

寝る前の安眠ヨガ(股関節を柔らかくして、全身の緊張をほどく)

※ご自身の体調に合わせ、無理はせず必要に応じて医師のアドバイスを受けましょう。

 

ウパヴィシュタコーナーサナ

①床に座って、両脚を左右に開脚する

②骨盤〜背中をまっすぐ伸ばす

③そのまま息を吐きながら、上体をゆっくり前に倒す

 

スプタバタコナーサナ

①床に座って、両脚の足裏を合わせる

②骨盤〜背中をまっすぐ伸ばす

③そのまま息を吐きながら、体を後ろに倒して仰向けになる

安眠ヨガ・スプタバタコナーサナ

テクノロジーがどれだけ進化しても「食べて、寝て、動いて、語り合う」という私たちの生活の基本は変わることはありません。生活の基本を大切にしていけば、心身は自然と健康になるようできています。まずは深呼吸から――心身を良いほうに導く生活習慣を始めてみましょう。(取材・文 / 麻生泰子)

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マニーシュ Maneesh

アルバータ州立大学医学部(薬理学専攻)卒業後、ウエスタン大学ビジネススクールでMBA取得。カナダにて伝統的なインド人家庭に生まれ、ヨガ哲学に基づいた価値観のもとで育つ。日本の外資系企業で働いたのち、自らのルーツであるインドでヨガ、アーユルヴェーダ、サンスクリット語を学び、現在、ATHA YOGA主宰。日本在住20年。

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フィリップスが考える、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアの「一連のヘルスケアプロセス(Health Continuum)」において、皆様の日常生活に参考になる身近な情報をお届けします。一人ひとりの健康の意識を高め、より豊かなヘルスケアプロセスの実現を目指します。

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