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3 01, 2020

「医療×MaaS」で地域課題を解決!私たちのまちをヘルスケアモビリティが走る日

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オンライン診療時代が始まろうとしている今、日本が抱える医療の課題を解決へと導く、ヘルスケアモビリティの挑戦が長野県伊那市でスタートします。

医療モビリティが患者さんのもとにやってくる

本病気や不調になったら、病院やクリニックに行く――それが“当たり前”でなくなる時代がもうすぐやってきます。長野県伊那市で2019年12月から始まったのは、“医療モビリティが患者さんのもとにやってくる”モバイルクリニック実証事業。医療×MaaS(マース:Mobility as a Service)を実現する、新時代の「ヘルスケアモビリティ」を活用したサービスです。

 

ヘルスケアモビリティとは医療機器などを搭載した車両で、患者の自宅などへ出向き、車内でオンライン診療ができるのが特徴です。伊那市で始まった実証では、看護師とドライバーが同乗したヘルスケアモビリティが患者さんの自宅を訪れます。患者さんは車内に乗り込み、ビデオ通話で医師による診察を受けて、看護師による処置や検査を受けることができます。

 

モバイルクリニック実証事業の試みは、地元の医師会の協力を得て、地域のクリニックや診療所が参画しています。そのメンバーの一人である神山内科医院の神山育男副院長は、この新たなサービスにかける思いをこう語ります。

 

「当院でも、訪問医療で診ているご高齢の患者さんが多くいます。現在、私が昼休みを利用して巡回していますが、移動を含めると患者さん1人あたり30分以上かかり、1日に訪問できる患者さんは2、3人が限界です。これ以上増やすと、病院にいる急性期や重篤な患者さんを診る時間が減り、医療の質を維持できません。

 

しかし、ヘルスケアモビリティを活用すれば、外来患者さんとほぼ同じ時間で在宅患者さんを診ることができ、より多くの患者さんの治療にあたることができます。また、患者さんにとっても、移動による身体的負担や経済的な負担を軽減できる。患者さんと医師双方にとってメリットがあるのです」

 

超高齢化、過疎化、医師不足、そして医療機関の偏在――日本の医療は深刻な課題をいくつも抱えています。伊那市で始まったヘルスケアモビリティの実現は、その難問を解決へと導くソリューションとして、全国各地の自治体、高齢化社会を迎える先進各国の注目を集めているのです。

サウナで心身が満たされた状態を “ととのう”と呼ぶ

日本が抱える医療課題を解決に導く“伊那モデル”

 

ヘルスケアモビリティによって医療がどう変わるか――少し先の未来まで追いかけてみましょう。第一段階である現時点では、医師はビデオ通話を通じて患者さんの顔を見ながらオンライン診療を行います。看護師が血圧や心電図などの検査を行い、測定データは情報共有クラウドシステムを通じて病院にいる医師に共有されます。

 

対象となるのは、症状の安定した慢性疾患の患者さん。平時はオンライン診療で経過観察し、気になる症状があるとき、本格的な診断や治療を受けるときは病院に行くなど、医師と相談しながら最適な診療を選択できます。サービスを運用しながら、スマホアプリによる配車予約、予約に合わせて患者宅までの最適なルートを提示する配車プラットフォームを活用し、効率よく巡回できるシステムを検証します。

 

第二段階では、ルール確立や法整備に合わせて、実施できる医療行為・投薬について広げていく予定です。例えば、改正薬機法では、医師が電子処方箋を調剤薬局に送付できる、ビデオ通話で薬剤師が服薬指導できるなど、薬の販売に関する規制が緩和されます。それに合わせて、オンライン診療の患者さんが薬を受け取りやすくなる仕組みが進化していくでしょう。

 

最終段階では、病院・診療所・調剤薬局・自治体が患者さんのデータを共有できるシステムを確立し、予防から診断、ホームケアに至るまで、健康づくりにつながる仕組みを地域全体で充実させていきます。

このヘルスケアモビリティの推進役となるのは「伊那市」を中心に、AIやIoTを活用した診断システムやクラウドデータベースを提供する「フィリップス・ジャパン」、そしてモビリティや通信分野のテクノロジーを担う「MONET Technologies」の三者です。三者が三位一体となって、今回のヘルスケアモビリティを活用したサービスを“伊那モデル”として確立していきます。

 

ヘルスケアモビリティは、さまざまな医療課題を抱える一部の自治体でも導入検討が進められています。伊那モデルでは、慢性疾患患者の往診を軸にしましたが、健康相談、予防指導、介護など地域のニーズや課題に合わせたさまざまな医療サービスに活用できるのです。

『サ道』作者のマンガ家・タナカカツキさん

私たちのまちをヘルスケアモビリティが走る未来

伊那市の白鳥孝市長は「伊那に生きる、ここに暮らし続ける」というヴィジョンを掲げて、地域に根ざした市政に取り組んできました。長野県内で三番目に広い伊那市は、南アルプスと中央アルプスに囲まれた自然豊かな地域です。しかし、多くの地方自治体と同じく、過疎化や高齢化、医師不足といった課題を抱え、とくに中山間部においては、高齢者が医療機関を受診・通院することが難しい状況が年々深刻化しています。

 

医療や交通といったインフラの崩壊は、人々の生活に直接大きな打撃を与えます。たとえ住み慣れた地域に住みつづけたいと願っていても、買い物や通院などがままならず地域を離れざるをえない――こうして過疎化が加速する悪循環が、日本各地で今起こっているのです。

 

そこで伊那市が取り組むのは、AIやIoTなど最新技術を積極的に導入し、地域の課題をテクノロジーで解決していく“攻め”の政策です。その取り組みの一つが、ヘルスケアモビリティの実現を進めるモバイルクリニック実証事業なのです。

 

現代のテクノロジーは、時間や距離といった物理的な壁を超えて、人と人を近づける力があります。遠く離れた人たちが、ICTによっていつでもどこでもコミュニケーションを深め、情報を共有できる時代がやってきたのです。

 

伊那市、フィリップス・ジャパン、MONET Technologiesの三者が目指すのは、人と人のあたたかいつながりを取り戻し、生活と健康の向上に役立つ暮らしのイノベーションの実現です。ヘルスケアモビリティが全国に浸透すれば、高齢化や過疎化が進む地域においても、人とのつながりや安心を感じながら暮らしていくことができます。ヘルスケアモビリティは、安心とつながりを届ける新時代のコミュニティカーなのです。(取材・文 / 麻生泰子)

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