2024年10月2日、オランダに本社を置くヘルステックカンパニーである株式会社フィリップス・ジャパン(本社:東京都港区、代表取締役社長:ジャスパー・アスエラス・ウェステリンク、以下 フィリップス)は、ロイヤルフィリップスCEOロイ・ヤコブスが来日し、駐日オランダ大使公邸(東京都港区)で記者発表会を開催しました。本記者発表会では、医療従事者の人材不足や長時間労働といった日本の医療業界が直面する課題を、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)を通じてどのように解決できるかについて議論し、医療分野におけるフィリップスの長期的な事業展開と、日本市場への深いコミットメントを示す場となりました。
【イベント内容】 イベントの冒頭では、駐日オランダ王国特命全権大使 ヒルス・ベスホー・プルッフ氏による挨拶があり、日本とオランダの医療分野におけるパートナーシップの重要性について言及しました。
開会のご挨拶: ロイヤルフィリップスCEOロイ・ヤコブスによる開会の挨拶では、グローバルな視点から日本の医療システムが直面する課題を挙げ、フィリップスが掲げる「Better care for more people」のビジョンに基づく課題の解決策として医療DXの推進を強調しました。
フィリップスは、世界中で革新的な医療ソリューションを提供するリーダー企業として、すべての人に質の高い医療を届けることを目指しています。特に日本市場は、その高度な医療技術と少子高齢化による課題が交錯する重要な地域であり、フィリップスにとっても大きな意味を持っています。フィリップスは日本における事業拡大と、より多くの人々に質の高い医療を提供するための新たな取り組みをしていく方針です。 フィリップスは医療機器製造業からデジタルヘルスケア分野への転換を迅速に成し遂げ、AI技術やデータ活用を駆使して、より効率的で効果的な医療サービスの提供を実現しています。この変革は、ヘルスケア分野におけるフィリップスのリーダーシップをさらに強化するものであり、日本における同社の取り組みにも大きな影響を与えると述べました。 日本の医療業界は、少子高齢化や医療従事者不足といった深刻な課題に直面しており、これらを解決するために医療DXが不可欠です。医療データの統合やバーチャルケアの導入が、今後の日本の医療改革における重要な要素となることを強調し、フィリップスが長期にわたり日本の医療DXをサポートすることへの強いコミットメントを表明しました。
フィリップスのご紹介および「Future Health Index 2024日本版」について: 次に、フィリップス・ジャパン代表取締役社長ジャスパー・ウェステリンクより、フィリップス・ジャパンが医療DXの最前線でどのように貢献し、日本の医療従事者や患者のために革新を提供しているかについて、フィリップスの取り組みを紹介しました。またフィリップスが全国のヘルスケアリーダーを対象に実施した意識調査レポート「Future Health Index 2024日本版」の概要について説明しました。
フィリップスが2023年12月から2024年3月にかけて実施した世界のヘルスケアリーダーを対象とした意識調査です。調査には、14カ国(日本、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、イタリア、オランダ、ポーランド、サウジアラビア、シンガポール、南アフリカ、英国、米国)の2,800人のヘルスケアリーダーが参加しています。また、定性的なインタビューも8カ国のリーダーを対象に行われ、日本は昨年に続き2回目の参加となりました。この調査を通じて、世界の医療現場が直面している共通の課題や、日本特有の課題が浮き彫りになっています。 *この調査は、GemSeek社よりオンライン(CAWI)調査の手法を採用し、2023年12月から2024年2月にかけて、15分から20分程度の調査を実施。
日本の医療の進展をめぐるトークディスカッション トークディスカッションでは、「Future Health Index 2024 日本版」の結果を基に、日本の医療現場における深刻な課題に焦点を当て、日本の医療システムにおけるデジタル変革の進展などの具体例について、産学のリーダーたちによる多角的な議論が展開されました。ロイヤルフィリップスCEOのロイ・ヤコブス、慶應義塾大学教授の宮田裕章氏、国際医療福祉大学学長の鈴木康裕氏、日本医療政策機構代表理事・事務局長の乗竹亮治氏が登壇し、ファシリテーターは乗竹氏が務めました。
次のセッションでは、日本の医療現場が直面する人手不足や過重労働の問題について取り上げました。「Future Health Index 2024 日本版」の調査結果によると、特にスタッフ不足と長時間労働が医療従事者に大きな負担を強いているという現状が明らかになりました。2024年4月から開始されている医師の働き方改革における具体的な対応策が議論され、医師以外の医療スタッフへの業務移管であるタスクシフトの進展とその課題についても意見が交わされました。 国際医療福祉大学の鈴木学長は、「日本の医療現場では、医者一人あたりが抱える患者の数が多いことや、いまだに紙のカルテを使用する場合も多い」と現場での医療従事者への負担が増大している点を指摘し、医療従事者のサポート体制強化が急務であると強調しました。 また具体的な解決策としてフィリップスが提供するeICUが紹介されました。これは遠隔地からICU患者を監視・サポートし、医師不足の解消やICUの効率的な運用を可能にするものであり、ヤコブスは、「eICUは、医療リソースを最適化し、医療の質を高めるための重要なツールである」とコメントし、技術が医療現場の負担軽減に貢献できる可能性を示しました。
また、医療DXの導入によりバーチャルケアの普及や医療データの統合がどのように進むかが焦点となりました。特に、バーチャルケアに対する医療従事者や患者の懐疑的な姿勢が課題として挙げられ、調査によると、バーチャルケアに対してポジティブな姿勢を示す医療従事者は日本ではわずか16%、患者に至っては15%と、世界平均に比べて低い数字が報告されています。バーチャルケアの成功には、患者のリテラシー向上とスタッフへの技術的サポートが重要であることが議論されました。また医療データの統合と活用における課題についても議論され、調査結果によると、日本の医療機関では、医療データの欠如が適切なケアの提供を妨げていると回答した医療従事者が76%にのぼり、地域のデータがないと医療アウトカムの格差を解消できないとした回答は78%に達しました。 (調査結果詳細はこちら) 慶應義塾大学の宮田教授は、「これまでの医療現場への置き換えではなく、データの価値を理解し、医療従事者のみならず患者さんにとってもメリットを見えるように可視化して、新しい価値を作り出すことが重要である」とコメント。医療データの統合と活用が医療DXの成功に不可欠であることを指摘し、データセキュリティやプライバシー保護の強化が必要だと強調しました。また、海外との比較から日本の医療DXの進展に向けた具体的なアプローチも提示されました。ヤコブスは、「フィリップスはこれまでに培ったグローバルな経験を活かし、日本の医療機関にも技術的なサポートを提供できる」と述べ、バーチャルケアの発展に向けたフィリップスの役割を強調しました。
最後に医療システム改革における官民連携の重要性について議論が行われました。「Future Health Index 2024」の調査結果によると、タイムリーで質の高い医療提供のためには、政府、ヘルスケア組織、テクノロジー企業、教育機関の協力が必要であるとされています。 慶應義塾大学の宮田教授は、「日本は医師が患者を抱えすぎているため、今後はオンライン診療や遠隔医療において、官民連携を強化していくことが重要になってくる」と述べ、長期的なコミットメントの必要性を述べました。 質疑応答 最後に、質疑応答ではコロナ禍に日本のオンライン診療のルールが変化したというトークディスカッションの内容を経て、オランダなど他国での現状について、ヤコブスより回答がありました。「オンライン診療においても、これまでとは違う形で患者さんのニーズに合わせた価値を見出していく事が重要」と語り、フィリップスが日本市場において提供する具体的なソリューションや、日本の医療現場におけるフィリップスの役割について詳細に説明しました。 今回の「Future Health Index 2024日本版」発表記念イベントでは、日本の医療システムが抱える課題に対する革新的なアプローチが議論されました。フィリップスは、デジタル技術を活用した医療DX推進のリーディングカンパニーとして、今後も日本の医療の未来を支えるソリューションを提供し続けてまいります。 開催概要 日時:2024年10月2日(水)16:30~17:30 開催内容・登壇: 1. 歓迎のご挨拶 登壇者:駐日オランダ王国特命全権大使 ヒルス・ベスホー・プルッフ氏 2.開会のご挨拶 登壇者:ロイヤルフィリップスCEO ロイ・ヤコブス 3.フィリップスのご紹介と「Future Health Index 2024 日本版」について 登壇者:フィリップス・ジャパン 代表取締役社長 ジャスパー・ウエステリンク 4.日本の医療DXの進展をめぐるトークディスカッション 登壇者:ロイヤルフィリップスCEO ロイ・ヤコブス 慶應義塾大学 医学部 教授 宮田裕章 国際医療福祉大学 学長 鈴木康裕 日本医療政策機構 代表理事・事務局長 乗竹亮治 5.質疑応答 6.フォトセッション
株式会社フィリップス・ジャパンは、ロイヤル フィリップスの日本法人として1953年に創業以来、革新的な技術を通じ、人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現を目指しています。主な事業領域は、画像診断、超音波診断、イメージガイド下治療、生体情報モニタ、ヘルスインフォマティクス、睡眠・呼吸治療、およびパーソナルヘルスと多岐に渡ります。ヘルステクノロジーのリーディングカンパニーとして、超高齢化が進む日本の医療・健康課題解決に向け取り組んでいます。 日本の従業員数は約2,000人、約70拠点でビジネスを展開しています。(https://www.philips.co.jp)
ロイヤル フィリップス(NYSE:PHG, AEX:PHI)は、革新的な技術を通じ、人々のより良い健康と満ち足りた生活の実現を目指す、ヘルステクノロジーのリーディングカンパニーです。 フィリップスの革新的技術は人々を中心に設計されています。先進的技術と医療従事者および消費者のインサイトを活用し、消費者にはパーソナルヘルスソリューションを、医療従事者とその患者様には病院や家庭でのプロフェッショナルヘルスソリューションを提供しています。 オランダに本社を置く当社は、画像診断、超音波診断、イメージガイド下治療、生体情報モニタ、ヘルスインフォマティクス、およびパーソナルヘルスの分野で世界をリードしています。フィリップスの2023年の売上高は182億ユーロ、全世界に約69,700人の従業員を擁し、世界100か国以上でビジネスを展開しています。フィリップスに関するニュースはこちらからご覧ください。(http://www.philips.com/newscenter/)