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athlete oralcare

2 13, 2024

スポーツ歯科学の専門家から学ぶ「スポーツ×オーラルケア」の関係性と、現代人にも欠かせないオーラルケアとは

 

様々なスポーツでアスリートがベストなパフォーマンスを発揮するには、「噛む」という行為が少なからぬ影響を及ぼします。その一方で、ハードな練習や試合に臨むアスリートは、口腔トラブルが生じやすい環境に晒されてもいるのです。本記事ではスポーツ歯科の専門家である武田友孝先生、スポーツ歯科の専門家でありながらご自身もマラソンランナーとしてご活躍される好士理恵子先生に、スポーツにおけるパフォーマンスとオーラルケアの関係性や、正しいオーラルケアの重要性についてお話しいただきました。

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右:武田友孝先生 左:好士理恵子先生

アスリートの口腔の健康を守る「スポーツ歯科」とは

武田友孝先生(以下、武田):
スポーツ歯科医は、アスリートやスポーツ愛好者の口腔状態をはじめとし、全身の健康をサポートする専門家です。口腔状態は運動のパフォーマンスにも影響するため、スポーツドクターと同じようにスポーツデンティストの存在は重要です。

武田友孝先生

好士理恵子先生(以下、好士):

スポーツ歯科というと、スポーツ選手にとってはボクシングやラグビーなどのコンタクトスポーツにおける外傷防止のためのマウスガード、マウスピースの作製が主なかかわりというイメージも強いと思います。もちろんそれも重要な仕事なのですが、私自身がスポーツ歯科を学んで、口腔と全身の健康が密接に関係していることを深く知りました。口腔の健康なしには良いパフォーマンスは発揮できないという事実について、もっと広く広めていきたいと常日頃から啓発に努めています。

好士恵理子先生

アスリート特有の口腔トラブルとパフォーマンスの関係

好士:アスリートは、一般の人以上にむし歯など、口腔トラブルのリスクが高いとされます。たとえばマラソンランナーは普段から脱水や熱中症予防のため、こまめに水分補給をします。糖分の含まれるスポーツドリンクを継続的に飲むことは、水分補給の観点では適切ではあるのですが、口腔内の環境としてはどうしても酸性に傾いてむし歯になりやすい状態になってしまいます。また口呼吸がメインになるため、口の中が乾燥して唾液の殺菌作用も働きにくくなります。

 

武田:そうですね、水分補給の観点と併せて食事の習慣も関係します。三度の食事のほかに補食でエネルギー補給をするため、食べる回数も多いんです。また、スポーツ選手は身体的・精神的ストレスも大きく加わるため、交感神経が働いて唾液の分泌が抑えられるという要因もあります。この、アスリート特有の、「水分補給」、「食事」、「ストレス」といった3つが要因となり口腔環境に悪影響を及ぼしやすくなるのです。

 

好士:唾液の分泌が低下すると、むし歯などが発症しやすくなるのに加え、上気道感染も起こりやすいという研究結果もあります。

好士恵理子先生

武田:なぜアスリートにとって口腔環境が大事なのかと言いますと、アスリートにとって「噛む」という行為は身体のコントロールに密接に関係しており、歯を噛みしめることで全身の関節の動きを止めて体が安定しやすくなるからです。そのため短距離走でスタートする瞬間、スキージャンプのリリースの瞬間などはぐっと歯を噛みしめます。またラグビーなどの身体接触の多いスポーツでも、衝撃に伴い歯を噛みしめるシーンが多いです。

この、歯の噛みしめが歯や歯ぐきに及ぼす負担は大きく、その点からもアスリートは歯や歯ぐきにトラブルを抱えるリスクが高いのです。


好士:上下の歯をしっかりと噛み合わせられることは、身体の安定を保つために非常に重要です。


武田:噛み合わせがよくないと、全身のバランスが崩れてきます。明確な影響が出ていないとしても、まっすぐ走れていない、無駄な力を使って疲れやすくなるなどのパフォーマンス低下につながる可能性もあるため、噛み合わせは良い状態を保つべきです。そのため多くのアスリートは、噛みしめる力のコントロールをしてパフォーマンスを向上させる、あるいは歯を保護するためにマウスガードやマウスピースを活用しています。


好士:ただ、マウスガードやマウスピースを使用する場合も注意が必要です。口腔内が汚れていると、マウスガードをはめた時に、歯とマウスガードのあいだに歯垢(プラーク)を閉じ込めることになります。そのため、マウスガードも口腔内もこまめにケアすることがより大切になってきます。

武田友孝先生

スポーツ界から向上するオーラルケア意識と、現代人にも伝えたいオーラルケアの重要性

武田:トップ選手ともなると普段から歯科治療に行く時間もなかなかとれない現実もあります。


好士:オーラルケアは日常の生活習慣の一つですから、普段から選手自身が意識して行うことが求められます。ただ本人だけでなく、指導者の意識も非常に大切です。オーラルケアの重要性を認識して、歯科検診や治療の時間を持たせるといった働きかけをしてほしいですね。


武田:指導者の考え方が変わると、だいぶ変わりますね。最近はオリンピックではスポーツドクターと同様にスポーツデンティストが常駐しますし、スポーツ各界でも普及し始めています。


好士:さらに見た目にも、アスリートたちの口元がきれいになっているなと思います。SNSの普及でより人に見られる機会が増えてきて、意識も変わってきたのかなと思いますね。

武田友孝先生・好士恵理子先生

好士:私はトップアスリートだけでなく、市民ランナーの方々と接する機会も多いのですが、その際にも「口腔内の健康はすごく大事ですよ」とお伝えしています。全身の健康に直接影響しますし、栄養摂取の面でも口腔内の状態を良好に保ち、よく噛んで食べることが大切です。


武田:先ほど、アスリートは噛みしめが原因でトラブルが生じる場合があるとお話しました。これと「咀嚼」、よく噛んで食べることはアスリートにとって、とても重要です。私たちが行っている研究では、筋肉の回復や全身の血流改善にも噛むことが影響するというデータが得られています。

また、よく噛んで食べることは栄養素の吸収を良くする効果があり、よく噛まないで食べると健康のために良い栄養素を摂っても、その多くが無駄になってしまいます。現代は食べ物の軟食化が進み、手軽に栄養素を摂ることができる一方、しっかり噛む食事機会が減っているため、意識して噛むことと、そのために健康な歯・口腔状態をつくることが大切です。

 武田友孝先生

好士:口腔内を健康に保つことは、スポーツをしている人だけでなく、ビジネスシーンや日常生活でのパフォーマンスにおいても大切なことです。現代ではストレスから無意識に歯を食いしばる方も多いですし、歯、歯ぐき、唾液の量、いろいろな要素が関係してきますから、普段のオーラルケアを適切に行うとともに、歯科医院で専門的に定期的に診てもらうことが大切です。


武田:どんな人でも、生活のうえで気をつけるべきなのはプラークコントロール(歯垢除去)を中心としたオーラルケア、そしてよく噛んで食べることです。そのうえで歯科専門家の定期的なチェックを受けること。「しっかり噛める」状態を保つためのオーラルケアを心がけ

てほしいですね。


プロフィール

武田友孝(たけだともたか)先生

東京歯科大学口腔健康科学講座スポーツ歯学研究室 客員教授

歯学博士。日本スポーツ歯科医学会理事・指導医・専門医。日本スポーツ協会公認スポーツデンティスト。日本障がい者スポーツ協会公認障がい者スポーツ医。

日本オリンピック委員会(JOC)強化スタッフ。スポーツドクター。


好士理恵子(こうしりえこ)先生

久我山あおぞら歯科医院 院長

歯学博士。日本歯周病学会認定医。日本スポーツ歯科医学会 専門医・代議員。日本スポーツ協会公認 スポーツデンティスト。

日本医師ジョガーズ連盟所属。ミズノランニングクラブ所属。

東京国際女子マラソン(2003年) 24位

富士山マラソン(2021年)優勝

富士登山競走 五合目コース(2022年)優勝、山頂コース(2023年)準優勝

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