ニュースセンター | 日本
smoking cessation and dental care header image

11 07, 2023

喫煙を「ブラッシング習慣」にチェンジして白い歯と健康な歯を手に入れよう!

 

喫煙習慣がある人に必須のデンタルケアのポイントと、歯の健康を守る禁煙の秘訣を、歯周病専門医・インプラント専門医の井原雄一郎先生(井原歯科クリニック院長)にお聞きしました。

smoking cessation and dental care hero

喫煙者は歯周病が進行しやすく、自覚症状が出にくい理由とは?

喫煙は全身の健康を害することはよく知られていますが、歯にはどのような影響を与えるのでしょうか。


「見た目では、歯や歯ぐきにタールなどが沈着して、歯が茶色くなり、歯ぐきは血行不良を起こし、赤紫色に変色します。喫煙者特有の口臭もあります。ただ、普段から人一倍ブラッシングやマウスケアに力を入れている方だと、ヤニ汚れや口臭が目立たないケースもあります。


いずれにしても、私たち歯科医が懸念する最大の問題は、喫煙は歯周病の発症や悪化につながることです。喫煙することで、全身の血管が収縮して歯ぐきが貧血状態になります。それによって、血液中の免疫細胞の正常な働きが奪われ、体に悪さをする細菌が侵入しやすくなってしまいます」


日本人が歯を失う一番の原因は歯周病*1ですが、喫煙はそのリスク要因の一つとなりうるのですね。


「非喫煙者に比べて、喫煙者が歯を失う割合が高いのは、さまざまな研究からも判明してします。さらに、喫煙は虫歯になりやすい口腔環境をつくることはご存じでしょうか。喫煙は、唾液の分泌量を減少させて、口腔内を乾燥させます。殺菌や抗菌作用がある唾液が不足した状態なので、お口がネバついて口臭が強まることはもちろん、虫歯菌が増殖しやすくなってしまいます。


当院では初診の患者さんには、喫煙習慣の有無をかならず確認しています。そして、喫煙者の方には、喫煙が引き起こす口腔疾患やブラッシング方法について個別にレクチャーする禁煙指導の時間を設けています」


禁煙指導の時間を設ける必要があるほど、喫煙は歯の健康にとって大きな問題ということですね。


「特に気をつけていただきたいのは、喫煙者は歯周病の自覚症状が出にくい傾向があることです。歯肉炎や歯周病のわかりやすい自覚症状として、歯磨きによって歯ぐきから出血したり、歯ぐきが腫れたりする症状が現れます。歯肉炎の段階で早期に気づけば、歯周病への進行を防ぐ手立てを打つことができます。


ところが、喫煙者は歯ぐきの血管が収縮して貧血状態になっているので、歯周病になっても出血しにくく、歯ぐきの腫れも起こりにくいのです。そのため、無自覚のうちに歯周病が進行して、歯がグラグラになって噛むと違和感が生じ、ようやく歯周病に気づくケースも少なくないです」

歯周病専門医・井原雄一郎先生

喫煙習慣の代わりに、ブラッシング習慣を強化しよう


患者さんの中には、喫煙が生活の一部になっていて、どうしてもやめられないという人もいるかと思います。タバコがやめられないという人は、どうしたらいいでしょうか?


「歯科医から見れば、歯周病治療に通う行為と、喫煙を続ける行為はいわば矛盾し、いくら私たちが治療で歯ぐきの状態を改善しても、患者さんが喫煙をやめなければ、歯周病は改善しないイタチごっこになってしまいます。ですから、〈禁煙=歯周病治療の一環〉だと、患者さんの認識を変えていただくことがとても大切だと考えています。


ただ、喫煙は依存性の習慣ですから、なかなか自分の意志ではやめられないという患者さんもいらっしゃいます。その場合は禁煙外来を紹介して、歯科治療と並行していただくこともあります。私たちも初診で行う禁煙指導に終わらず、歯科治療や口腔クリーニングの際にも禁煙の大切さを繰り返し伝えていきます」


禁煙は一筋縄ではいかないことも多く、たとえ一時的に失敗したとしても、「タバコをやめる」という意志を持ち続けることが大切かもしれませんね。


「すぐに禁煙に完全移行できなくても、少しずつ本数を減らしていただくこと、ブラッシングや口腔クリーニングをこまめに行なっていただくことで、お口の状態を少しずつ改善していく効果は期待できます。歯の着色汚れが気になる方は、頻繁にブラッシングを行っていただくこと、また、歯科の定期検診・口腔クリーニングの頻度を増やしていくことが大切です。


タバコを吸いたい衝動や口寂しさを感じたときは、あるいは、気分転換や眠気覚ましが必要になったときは、喫煙ではなく、歯ブラシによるブラッシングに置き換えていくことも良いと思います。禁煙中は、口寂しさから間食に走って、虫歯や肥満につながってしまうケースも少なくありません。歯磨き粉をつけてブラッシングすると、食欲が落ち着きますし、せっかく磨いたのだから間食はやめようという心理的ストッパーも働きます。禁煙中は、喫煙や間食をブラッシングに置き換えれば、歯の健康にとっても、体の健康にとっても、うれしい結果がもたらされると思います」

禁煙に成功するには、喫煙習慣の代わりにブラッシング習慣をうまく取り入れていく手もあるのですね。喫煙者に実践してほしいデンタルケアのポイントを教えてください。


「当院では、喫煙者も含めすべての患者さんに〈歯ブラシ・フロス・マウスウォッシュ〉の3セットのデンタルケアを推奨しています。歯ブラシで歯の表面の汚れをしっかり落とし、フロスで歯間の汚れにアプローチして、マウスウォッシュで舌や粘膜、喉についた食べカスや細菌を洗い流す3ステップです。喫煙者の方はヤニ汚れを落とそうと強く磨いてしまう人もいますが、かえって歯や歯ぐきを傷つけてしまいます。それよりもブラッシングの頻度を多くすること。そして、歯ブラシは指先で握って力が入りすぎないようにして、やさしく小刻みに磨くのが効果的です。


お口の中がスッキリした状態が当たり前になると、タバコを吸ったときの口の中のネバつきや臭いといった不快感も自覚しやすくなります。タバコがやめられないという方は、まずはデンタルケアを徹底することから始めてみると、タバコを吸いたいという衝動を少しずつ減らしていけるかもしれません」

インプラント専門医・井原雄一郎先生

本来の白い歯と爽快なお口を実感するデンタルケア


先ほど井原先生は、歯周病治療は禁煙が大切とおっしゃっていましたが、他の歯科疾患の患者さんについても同様なのでしょうか。


「当院では、インプラントや歯周外科手術の患者さんは必ず禁煙をしていだくことを基本方針としています。喫煙をしていると創傷治癒が遅れ、予後が悪く、さまざまなトラブルや合併症を生みやすくなります。インプラントに関しても、インプラント周囲炎のリスクがあがり、進行するとインプラントの脱落のリスクが高まります。患者さんの10年後、15年後の歯の健康を考えると、禁煙は必須のステップです」


喫煙をしているかぎり、治療の選択肢もせばめられる可能性があるということですね。


「はい。ただ長年の習慣を一人で変えていくことは時間もかかるし、難しいかもしれません。そんな方は、まずはかかりつけの歯科クリニックを見つけて、日頃のブラッシングを丁寧におこなうデンタルケアから始めていただくのがいいと思います。自分のお口の中の状態も正確にわかりますし、私たちも禁煙や歯ぐきケアに向けて、あの手この手でアドバイスやケアを提供していきます。禁煙への取り組みは歯科と二人三脚で。あきらめず日々のデンタルケアを続けながら、歯の健康を維持していきましょう」


――長年続けてきた喫煙習慣を変えるには「習慣」を見直すことから。ブラッシング習慣を強化することで、口腔環境や歯への意識が少しずつ変わっていくかもしれません。まずはブラッシングで、喫煙で蓄積した着色汚れを落とし、歯の本来の美しさと、すがすがしいお口を実感してみることから始めてみましょう。(取材・文 / 麻生泰子)


*1「第2回 永久歯の抜歯原因調査」公益財団法人8020推進財団、2018年

井原歯科クリニック・井原雄一郎院長

プロフィール

井原雄一郎(いはら・ゆういちろう)先生


2009年 東京歯科大学 卒業

2009年 慶應義塾大学 医学部 歯科・口腔外科学教室 研修医

2011年 独立行政機構 霞ヶ浦医療センター 医員

2012年 慶應義塾大学 医学部 歯科・口腔外科学教室 助教

2017年 井原歯科クリニック 開業


【所属学会】

日本歯周病学会 専門医・指導医

日本臨床歯周病学会 認定医

日本口腔インプラント学会 専門医

American Academy of Periodontology member

ソーシャル メディアでシェア

トピック

連絡先

Philips logo

お口の健康 オーラルケア

お口全体の健康を考えてきたフィリップスから、皆さまに日頃のオーラルケアの参考になる情報をお届けします。自信あふれる毎日が送れるよう、一人ひとりのお口の健康意識を高めることを目指しています。

関連ニュース

お口全体の健康を考えるフィリップスソニッケアー  

 

ソニッケアーは、フィリップスの100年以上にわたるヘルスケアの専門知識を活かしながら、お客様のお口が健康で、自信あふれる毎日が送れるよう努めています。

You are about to visit a Philips global content page

Continue

当社サイトを最適な状態で表示するには、最新バージョンの Microsoft Edge、Google Chrome、または Firefox をご利用ください。