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tips of dental care for child

7 13, 2023

「子どもを変える言葉」で歯磨き習慣化。矯正歯科医が教える乳歯からのデンタルケア

 

子どもの歯磨きは、親子で一緒に取り組む共同作業。矯正歯科をご専門とする賀久浩生先生(スーパースマイル国際矯正歯科院長)に、家庭でのデンタルケアや歯磨き習慣化の秘訣をお聞きしました。

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10歳前後までは「歯磨き」は親子の共同作業

 

――子どもの歯の健康は親の生活習慣の影響を受けやすいといいます。子どものデンタルケアで、親御さんに気をつけてほしいことを教えてください。


子どもの歯は、エナメル質や象牙質が薄いため、大人よりも虫歯になりやすく進行が早いのが特徴です。とくに虫歯ができやすいのは奥歯の間で、あっというまに虫歯が進むことがあります。自分で歯を磨く習慣をつける大切な時期でもありますが、同時に大人が最終チェックをして「仕上げ磨き」をしてあげる並行ケアが不可欠です。


――お子さんが小さいうちは、歯磨きは親子一緒の共同作業なのですね。「仕上げ磨き」は、何歳ぐらいまで続ける必要があるのでしょうか?


永久歯が生えはじめる10歳前後までは、親御さんが仕上げ磨きをしてあげましょう。「そんな大きくなるまでやるの?」という声も聞こえてきそうですが、子どものうちは、歯ブラシの細かい動きや力加減がうまくできませんから、自分で完璧に磨くのはむずかしいのです。


親が使う仕上げ磨き用の歯ブラシは、子どもの口に合わせて小さめヘッドで、毛はやわらかめ〜ふつうがおすすめです。子どもの歯は弱いので「ペングリップ」でやさしく握り、小刻みに動かして1〜2本ずつ磨いてください。


また、「歯磨きタイム」を決めておくことも大切ですね。食後や就寝前など歯磨きのタイミングや時間を決めてください。「お母さん、ゲームしたいから早く歯を磨こう」などと言われるようになればしめたもの。「歯磨きタイム」が定着していれば、10歳以降にひとり立ちするときもスムーズです。


一方、お子さんには、乳歯が揃う2〜2歳半ぐらいから「自分の歯ブラシをもつ」ことを始めてください。仕上げ磨き用の歯ブラシとは別に、キャラクターがデザインしたカラフルな歯ブラシなど、お子さんが喜ぶ自分専用の歯ブラシを用意してあげるといいと思いますね。

歯磨きは親子の共同作業

歯磨きは楽しい⁉︎子どもを変える魔法の言葉

 

――仕上げ磨きをしようとしても、子どもが嫌がったり泣いたりして、親御さんからは「思うように磨けない」「仕事で疲れているのにさらにしんどい」というお悩みの声も。どうしたら、仕上げ磨きがスムーズになりますか?


何事も最初が肝心です。子どもからしたら、口に歯ブラシを突っ込まれた不快な経験、じっとしているのが辛いなどのイメージが強いのだと思います。さらに「虫歯になっても知らないよ!」「じっとしていなさい!」という叱られ体験が追い討ちをかけます。叱りたくなるのをぐっとこらえて、「スッキリしようね」「気持ちいいいね〜」「キレイになったね」などとごきげんになるような言葉をかけて、“歯磨きは気持ちいいもの”とポジティブな印象を与えていくことが大切です。


「楽しいから笑うのではない、笑うから楽しいのだ」という心理学者の言葉がありますが、歯磨きに関してポジティブな言葉をかけてあげることで、子どもの歯磨き意識はずいぶん変わってくると思いますね。こうした働きかけは、じつは歯磨きにかぎらず、子どもの生活全般に有効です。習いごとやお片づけも「楽しいね」「すごいね」「かっこいいね」「上手になった」と良い部分、頑張った部分をフォーカスしてあげることで、子どもの取り組み方が180度と変わってくると思います。


歯磨き習慣をしっかり定着させるには、つど褒めて子どもの自己肯定感もいっしょに高めてあげることが大切。うちのクリニックでも、お子さんが頑張ったことに対しては、お父さんお母さんに伝えて、みんなでシェアしていきます。本人に前向きなフィードバックしていくことで、楽しい習慣として定着していくと思います。

歯磨きが楽しくなる習慣化

乳歯期から始まる。健康な永久歯を育むデンタルケア

 

――賀久先生は矯正がご専門ですが、矯正歯科医の視点からアドバイスはありますか?


「仕上げ磨き」は主に虫歯予防が目的ですが、じつはこれから生えてくる永久歯のためにも意味があるのです。乳歯は基本的に左右対照に抜けていきます。1〜2ヶ月ほどのタイムラグが生じることはありますが、生えてこない時期がそれ以上長引くと、噛み合わせに影響が出て、顔面の骨格が左右非対称に発達していくことがあります。早く気づいてあげることができれば、クリニックで噛み合わせ調整の装置をつけるなど早期治療することができます。


また、まれに一部の永久歯が生えてこない「永久歯先天性欠如」のケースもあります。永久歯が成長することで、永久歯が乳歯の根を溶かして乳歯は自然と抜け落ちます。ところが、永久歯がないと、乳歯の根が溶かされないため、乳歯が残ったままになるのです。よく見られるのが上顎の2番、下顎の5番の永久歯が欠如しているケースで、複数本におよぶ場合もあります。


こうした永久歯の先天的欠如ケースでは、乳歯がすぐに抜けてしまう場合もあれば、長期に渡り残る場合もあります。そういったケースでは早いうちに判明すれば、矯正治療で後ろの歯を少しずつ詰めて、自前の歯で噛み合うように調整するなど治療のオプションや進めやすさも変わります。

 
健康で一生使える歯の発育のために大切なのは、乳歯のうちから親御さんがこまめにお子さんのお口の中をチェックしてあげること。さらに2歳半〜3歳ぐらいから定期検診もデビューして、親御さんとかかりつけ歯科医の二人三脚でお子さんの歯の成長を見守っていただきたいですね。(取材・文/麻生泰子)

賀久浩生先生

プロフィール

賀久浩生(かく・こうせい)先生

医療法人恵明会理事長。スーパースマイル国際矯正歯科院長

東京歯科大学卒

アメリカ歯学修士

カリフォルニア大学サンフランシスコ校にて研修医プログラム終了

ボストン大学大学院修了(矯正歯科学専攻)

University of Missouri at Kansas City客員教授

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