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6 01, 2021

スポーツで虫歯や歯周病のリスクが高まる?アスリートの健康な歯を守る口腔ケア習慣

 

運動中・後の口腔環境は無防備で、虫歯や歯周病のリスクが高まることがわかっています。スポーツ歯科を専門とする好士理恵子先生(歯学博士)に、スポーツをする人の口腔ケアや注意点を伺いました。

Una Sonrisa Saludable En Casa

運動中や運動後に潜む、歯のリスク


多くのアスリートの口腔ケアをサポートしてきた歯学博士の好士理恵子先生(久我山あおぞら歯科医院院長)。好士先生によれば、アスリートは一般の人以上に虫歯や歯周病のリスクにさらされているといいます。

 

「運動中は口呼吸になることで、口の中が乾燥しがちです。この状態は虫歯菌が増殖するのに絶好の環境。さらにスポーツドリンクや栄養補助食品などを摂取すると、糖質が虫歯菌のエサとなってますます虫歯リスクが高まるのです」

 

運動中は虫歯の進行リスクが高まるのですね。さらに、好士先生は、運動後も危険が潜んでいるといいます。

 

「ハードな運動した後は、体の抵抗力が低下して感染症にかかるリスクが高まります。実際、フルマラソンをした後は風邪やインフルエンザなどの上気道感染を起こしやすくなるという報告*1もあるほど。口腔内においても感染リスクが高まり、歯周病が悪化しやすくなるのです」

 

運動を習慣的におこなう人は、よりいっそうの口腔ケアを心がけたほういいのですね。

 

「はい。口腔ケアは、身体パフォーマンスを発揮するうえでも重要です。スポーツ歯科学では、上下の歯がしっかり噛み合うことで体幹が安定することがわかっています。それによって筋肉への神経伝達がよくなり、握力やジャンプ力など瞬発的な筋力が高まると考えられるのです。しかし、虫歯や合わない詰め物、歯周病による歯のぐらつきは、噛み合わせを悪化させる要因となってしまうのです」

 

最大のパフォーマンスを発揮するには、虫歯や歯周病のない健康な歯であること。とりわけ上下の歯がしっかり噛める「噛み合わせ」は、全身の力を最大限発揮するうえで重要なのですね。

 

「それはスポーツ選手のみならず、一般の人にもいえます。噛み合わせが原因で顎関節症や頭痛など不調につながることもありますし、高齢者の方が歯を失って噛み合わせのバランスが崩れると、転倒しやすくなることがあります。健康な歯を維持することは、全身の健康を守ることにも直結しているのです」

Care Better

久我山あおぞら歯科医院提供

スポーツ歯科医がアスリートに指導する口腔ケア


好士先生は、アスリートの口腔ケア指導としてどのようなことを行っているのですか?

 

「定期的な歯科検診とクリーニング、スポーツマウスガードの作製を行っています。スポーツマウスガードは主に外傷から歯を守るためですが、歯を食いしばるときの噛み合わせをよくする役割も果たします。一般の方でも、ゴルフやテニス、スポーツジムなど瞬発的な力を必要するスポーツを行う方に勧めることもあります。

 

毎日のケアの基本となるのは、やはりブラッシングです。私たちの研究班では、大学バレーボール選手を対象に歯ブラシと音波電動歯ブラシによる歯磨き効果の比較を行いました。その結果、歯垢除去率や出血減少率は僅かに音波歯ブラシ使用が高く、唾液検査では、音波電動歯ブラシで磨いたほうが虫歯リスクと歯周病リスクが大幅に低下することがわかったのです*2(下図)。

口腔ケアを確実かつ効率よく行いたい人には、音波電動歯ブラシがおすすめですね。スポーツ選手のライフスタイルを考えると、練習後も全身のクールダウンやマッサージなどのメニューが組み込まれています。さらにハードな運動で疲労困憊して歯磨きが不十分になったり、強い力で磨きすぎたりすることも考えると、無理なく簡単に口腔ケアができるツール選びが大切だと思います」

 

英国のプロアスリートを対象に行った調査では、チームスポーツ選手は個人スポーツ選手と比べて、虫歯保有者が2.4倍多かった*3との報告もあります。なぜ、チームスポーツ選手の方が歯の状態が悪かったのでしょうか?

 

「原因はさまざま考えられますが、チームスポーツは寮生活や集団行動になることが多いので、歯科医院に通ったり、食後すぐの歯磨き習慣などの自己管理がしにくい環境にあるのが一因かもしれません。スポーツ選手は運動中心の生活になりがちなので、今後はチーム全体のマネジメントに『口腔ケア』を組み入れていくことが望ましいと思います」

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口腔ケアがいいパフォーマンスにつながる


口腔環境の悪化につながりやすい運動中の飲食については、どう指導されていますか?

 

「熱中症予防や低血糖などの予防に必須ですから、基本的に制限することはありません。ただし、スポーツドリンクや間食をとった後は、水を飲んだり、口をゆすぐように指導しています。口の中に飲食物が停滞しているかぎり、口腔内は酸性に偏ったままですが、水で食べカスや糖分を洗い流してあげるだけでも、口腔環境はかなり改善されると思います。

 

以前私たちが行った歯磨き習慣のアンケート調査では、運動前に歯を磨くと答えた女性アスリートが結構いました。運動前とまでいかなくとも、食事後はかならず歯を磨く習慣をつけること。口腔内の食べカスや歯垢をできるだけ減らしておけば、運動中・後に口腔環境が悪化することは防げます」

 

じつは好士先生ご自身も、第一線で活躍するマラソンランナーです。診療や研究のかたわら、東京国際女子マラソン(2003年)では24位、ユナイテッド・グアムマラソン(2019年)では女子ハーフの部優勝、青梅高水国際トレイルラン(2021年)で19キロ女子の部優勝など、数々の輝かしい戦績をあげてきました。好士先生が、運動中に心がけている口腔ケアは?

 

「マラソン時は、スポーツドリンクと水はかならずワンセット。大会でも給水所でスポーツドリンクを飲んだあとは、水で口をすすぐようにしています。歯科医のランナー仲間も多くいますが、同じように心がけている人が多いと思います。

 

フルマラソンやトライアスロンのような長時間にわたる競技だと、粉飴やクエン酸を溶かしたドリンクで栄養補給することもありますが、口腔環境が悪い人は競技後にますます悪化してしまうことがあります。口をゆすぐ、定期検診に通うなど歯を守るケアも心がけてほしいですね」

 

多くのアスリートの口の中を診てきた好士先生によると、好成績を上げて長く活躍できる選手は、口腔の状態がいいと感じることが多いと話します。

 

「スポーツで、人生で、長く活躍しつづけるために健康な歯は大切な土台となります。ぜひ今日からブラッシングを基本とした口腔ケアを徹底して、全身と歯の健康を目指してほしいですね」(取材・文/麻生泰子)

 

出典

*1 Pedersen BK, et al., NK cell response to physical activity:possible mechanisms of action, Med Sci Sports Exerc, 1994

*2 好士理恵子他、スポーツ選手に対する口腔衛生指導介入の有用性について、第30回日本臨床スポーツ医学会学術大会、2019

*3 Julie G, et al., Oral health and performance impact in elite and professional athretes,2018

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好士 理恵子(こうし りえこ)久我山あおぞら歯科医院 院長

 

【略歴】

日本大学卒業 ・同大学院修了・歯学博士

・日本歯周病学会 認定医

・日本スポーツ歯科医学会 認定医・代議員

・日本スポーツ協会公認 スポーツデンティスト

・日本臨床スポーツ医学会 会員

・ミズノランニングクラブ所属

・日本医師ジョガーズ連盟所属

 

【主な成績】

・三浦国際市民マラソン(ハーフマラソン)優勝(2001年、2002年、2003年)

・東京・荒川市民マラソン(現・板橋Cityマラソン)優勝(1999年、2000年、2002年)

・東京国際女子マラソン24位(2003年)

・ユナイテッド・グアムマラソン2019女子ハーフの部優勝(2019年)

・青梅高水国際トレイルラン19キロ女子の部優勝(2021年)

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