「医療×IT×モビリティ」で、医療はもっと人に身近でやさしい存在になれる――高齢者から若い患者さんまで幅広いニーズに応える都市型医療MaaSが、人口が密集する埼玉県南部で運行スタートします。

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「通院」の概念を一変させる都市型医療MaaS

 

オレンジイエローのボディが街に映える医療MaaSが、2022年2月から埼玉県南部のエリアを走り始めます。医療MaaS(Mobility as a Service)とは、オンライン診療システムや医療機器を搭載した自動車です。運行エリアは戸田市・川口市・さいたま市南部が中心で、戸田市内で先進的な地域医療に取り組む公平(こうだいら)病院が運用します。

 

これまでの「通院」の概念を一変させる医療MaaS。国内ではすでに長野県伊那市と青森県青森市の自治体で導入が始まっています。伊那市においては「超高齢化・過疎化・医師不足」という課題を解決すべく2019年から医療MaaSを導入し、現在6つの医療機関でシェアしています。青森市では、健康寿命の延伸を目的に、検診受診率の向上や病気予防のため、保健師や管理栄養士が乗る医療MaaSを市民の生活圏内に派遣する予防サービスを展開。働き盛り世代から高齢者を対象に公民館や商業施設で体力測定や栄養・運動指導を行い、市民の健康意識向上や行動変容を促すだけでなく、収集したデータによる健康リスクの高い市民のスクリーニングに役立てています。

 

これまで地方の医療不足を補う手段として医療MaaSの活用が先行してきましたが、公平病院の医療MaaSは初となる都市型の医療MaaS、しかも病院が運用するヘルスケアモビリティです。医療MaaSの導入を決めた公平病院の公平誠院長はこう語ります。

 

「長野県伊那市の導入事例を知り、さまざまな患者さんのニーズに応えられる医療MaaSの可能性を確信しました。ご高齢やお身体が不自由な患者さんはもちろんですが、若い方でも治療の継続が難しい患者さん、がんなどの免疫系の疾患を抱える患者さんも、時間や移動の負担、感染のリスクを減らして、安心して診療を受けていただけます。家族の病院付き添いの負担も軽減できる。忙しい生活を送る人が多い都市部だからこそ、医療MaaSがあれば、もっと医療が身近な存在になって健康づくりに貢献できる――そう考えて当院での導入を決めたのです」

都市型医療MaaSが、医療課題を解決する手段になる

 

伊那市や青森市の医療MaaSは大型バンでしたが、都市の道路事情や運転のしやすさを考え、公平病院の医療MaaSは取り回しのいいミニバンがベースです。患者さんの自宅に到着すると、患者さんは設備の整った車内で病院にいる医師からオンライン診療を受けることができ、そばに寄り添う看護師から血糖・血圧、心電図などの検査、患部の手当てなどの手厚いケアが受けられます。

 

「新型コロナ感染症拡大下では、患者さんが自宅にいながら医師の診療が受けられるオンライン診療が注目されました。しかし、実際にやってみると、対面でなければ得られない身体の情報、検査や処置ができないというギャップが課題になりました。

 

医療MaaSでは、看護師と医療機器が患者さんのもとにやってくる、DtoPwithN(Doctor to Patient with Nurse)によるオンライン診療を提供します。患者さんも、直接看護師のケアや指導・管理問診を受けて安心でき、オンライン診療だけでは足りなかった物理的・心理的ギャップを埋めることができるのです。しかも、対面診療や訪問診療より診療料が安価に設定されているので、患者さんの経済的負担が軽減できて、医療費の削減にもつながります。医療MaaSは患者さんが無理なく受診を継続できるので、症状の安定などの治療効果の向上にもつながるのではないかと期待しています」

 

医療MaaSは、患者さんにとって最善の治療を進めていくうえで役立つ診療システムなのですね。

 

「はい。慢性疾患の日常診療レベルならば、医療MaaSでほぼ完了できる未来も近いと考えています。当院では、患者さんを自宅から病院までお送りする“患者さん送迎車”も同時運行しています。症状が安定しているときは医療MaaSで受診して、必要に応じて患者さん送迎車で病院での対面受診も選べる。患者さんの症状やニーズに合わせて、“通院”のかたちを選択できる時代がまもなくやってくると思います」

 

医療MaaSという「医療×IT×モビリティ」の新たな診療システム。さらに、公平病院の医療MaaSは、緊急時・災害時にも活躍できる設備を整えています。

 

「医療機器の電源をバッテリーから確保できるハイブリット車を採用し、車内にはAED、モバイルエコー、生体情報モニタや呼吸機能検査機器など複数の機器を搭載しています。災害発生時には被災地の避難所に駆けつけて、被災された方の診療やヘルスケアができるように備えています」

 

医療MaaSは超高齢化や感染症予防、災害時の医療など多様化する医療課題を解決する有効な手段となりうるのです。

公平病院・公平誠院長

医療を患者さんの生活の場で実現する時代に

 

公平病院の医療MaaSが運行する埼玉県南部エリアは、東京のベッドタウンとして右肩上がりに人口が増えている地域です。しかし、人口に比して医療機関が少なく、高齢化に備えて医療体制の拡充が急がれています。長野県伊那市では、医療MaaS導入によって診療キャパシティが大幅に向上しました。あるクリニックでは、訪問診療にあてる午後の診療時間は3人の患者さんを診るのが限界でしたが、医療MaaSによるオンライン診療を加えたことで、午後は訪問診療の患者さん3人に加え、外来患者さん30人を診療できるようになりました。

 

「従来の医療システムは、患者さんが病院に行くことが前提でした。しかし、医療の原点を考えれば、苦しみを抱える患者さんのもとに医療が駆けつけることができるのが理想です。人類はさまざまなテクノロジーを進化させて、社会インフラや医療を革新的に向上させてきました。これからの時代は情報・医療のテクノロジーを駆使して、患者さんの生活の場で医療を実現することができるのです」

 

公平病院のある戸田市は、物流の要衝として栄え、大小の倉庫がある物流の一大拠点でもあります。倉庫内に調剤薬局を設置し、患者宅に医薬品を発送する新たなサービスも始まっています。公平院長は、戸田市の未来をこう語ります。

 

「医療MaaSと並行して、患者さんの自宅に薬をお届けする宅配システムの確立は必須です。患者さんの生活の場で医療が完結するまちづくりを、行政、企業、医療機関が協力し、今後進めていければと考えています」

 

公平院長の目は、さらにその先の明るい未来にも向けられています。この医療MaaS導入を皮切りに、ICT化で持続可能な都市をつくるスマートシティの実現に近づけていけたらと考えているのです。

 

「クルマ中心の都市づくりの時代は終わり、MaaSやシェアリング、自動運転テクノロジーで交通が最適化・安全化され、人が街の中心を闊歩できる “人にやさしい街”がこれからの都市の姿だと考えています。交通・物流・医療などのシステムが “人”を中心に機能する。人にやさしく、自然にもやさしい――それこそが私たちが目指すべきまちづくりであり、そこで暮らす人の健康向上にもつながると考えています」

 

未来は向こうからやってくるものではなく、私たちがあるべき姿を想像して、少しずつ創造していくもの。ヘルステックカンパニーであるフィリップスが「医療×IT×モビリティ」を融合して誕生させた医療MaaSは、人にやさしく、社会にやさしい新たな医療システムを創出していきます。(取材・文/麻生泰子)

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