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1 20, 2021

よりよく“生きる、食べる、暮らす”ためにおうちでのオーラルケアを楽しく充実させよう

ページを読む時間の目安: 3-5 分

 オーラルケアは、おうちで実践できる重要なヘルスケアです。ケアを楽しく継続する秘訣、ケアが予防につながる感染症や生活習慣病について、予防歯科学を研究する天野敦雄大阪大学歯学部教授にうかがいました。

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面倒?億劫?間違った“歯磨きの常識”を見直そう

オーラルケアは、丁寧なケアを日々継続するのが大切――そうわかっていても、疲れているとき、忙しいときは不十分になってしまうことも。おうちで徹底したケアを習慣化するには、どうしたらいいでしょうか?

 

「歯磨きを面倒に感じたり、義務感からやっている人は“歯磨きのイメージ”を変えてみるのがいいと思います。本来、口腔内を清潔に保つことは、毎日を気持ちよく過ごす大切なステップ。歯磨きは、お風呂に入ってサッパリしたり、美容院やエステでキレイになるのと同じ。快適な環境で歯磨きして爽快感を味わうことで、“歯磨きは楽しくて気持ちいい習慣なのだ”と意識を書き換えていくことが大切だと思います。」

たしかに歯を磨くと、口だけでなく、気分まですっきりします。そう考えると、むしろ疲れているときや忙しいときほど、歯磨きはリフレッシュにつながるセルフケアといえるかもしれません。

 

「おうちでのケアを充実させるには “歯磨きの環境”を整えてあげることも大切ですね。予防歯科先進国である北欧やアメリカでは、歯ブラシだけでなく、デンタルフロス、歯間ブラシ、舌ブラシ、マウスウォッシュを駆使してホームケアを徹底しています。自分にぴったり合ったデンタルツールが洗面所にそろうと、モチベーションも上がるし、歯磨き後の爽快感や達成感がまったく変わってきます。」

 

自分に合った、お気に入りのデンタルツールをそろえる――そこから、毎日のおうちケアは、ちょっと面倒なものから、楽しいものへと変わっていくのですね。

「古くから『口は健康の入り口、魂の出口』といわれます。口の清潔を保つことは、おいしく食べて栄養をとり、楽しく話せる豊かな人生につながっていきます。入り口が汚れた状態だと、生きるために大切なものがすべて汚れて自分の体に入ることになる。いくつになっても、日々の暮らしを楽しめる人生を送りたいなら、今から口腔内の健康に気を配ることがとても重要なのです。」

 

よりよく生きて、食べて、暮らす――オーラルケアは、これからの豊かな人生のために欠かせない習慣なのです。

 

下図:大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学教室WEBサイトに掲載のものを引用し弊社にて作図。

ネットの見すぎが呼吸を浅くさせることも

“最適環境”が整えば、おうちケアはもっと進化する

予防歯科医の立場から、おうちでの歯磨きテクニックについてアドバイスはありますか?

 

「基本であるブラッシングを徹底することが大切です。じつはブラッシングは大人でも正しく実践できていない人がとても多いのです。

 

大切なのは、歯と歯、歯と歯肉の“すき間”です。すき間までしっかり磨くには、ほどよい力加減と角度で小刻みにブラシを動かして、汚れをかき出す繊細な動きが必要です。ホームケアで難しいのは、このブラッシング技術は個人差がとても大きいこと。そこで、なかなかうまく磨けない方には電動歯ブラシを使用した磨きかたを説明しています。

 

また、40歳をすぎると歯ぐきが下がり、すき間に食べカスや歯垢がつまりやすくなります。こうなると、フロスと歯間ブラシは必須。ホームケアでは、年齢や歯の状況に応じて、最適なデンタルツールを上手に取り入れていくことが大切なのです。」

デンタルツールを毎日気持ちよく使うにはアフターケアも大切です。天野先生によれば、細菌が繁殖する3条件とは〈水分・栄養・温かさ〉。歯ブラシに汚れが付いたままだと細菌が繁殖しやすくなるので「使った後はよく洗い流して、水分を切って風通しのいい場所に置くこと」が、次の歯磨きで気持ちよく使うポイントだそうです。

動かないことが体にかける負担は大きい

毎日のオーラルケアが感染症リスクを下げる

オーラルケアは、全身疾患の予防の観点からも重要といわれています。なぜ、口腔内の状態が全身に影響をおよぼすのでしょうか。

 

「口の中には、たくさんの善玉菌と悪玉菌が住み着いています。悪玉菌とは、歯周病菌や虫歯菌など口腔内の健康を害する菌ですが、悪さするのは口の中にとどまりません。

 

悪玉菌は食べ物や唾液と胃腸に届き、腸内環境を悪化させます。さらに歯周病菌が引き起こした炎症によって生み出されるサイトカインは、歯肉の毛細血管の血液に乗って全身に運ばれて、血管壁や脂肪組織、筋肉などに作用して高血圧や糖尿病、動脈硬化、肥満などさまざまな生活習慣病を悪化させるのです。

 

さらには最近では、オーラルケアがインフルエンザなどの感染症予防にもつながることがわかっています。口腔内が清潔な状態に保たれていると、口腔内にウイルスが侵入しても感染が成立しにくいのです。」

 

なぜ、オーラルケアで、ウイルスに感染しにくくなるのでしょうか?

「ウイルスは、皮膚や粘膜に付着するだけでは感染しません。感染が成立するには、細胞壁のバリアを超えてウイルスが細胞内部に侵入する必要があります。このとき細胞壁をこじ開けるサポート役を果たすのは、口の中にあるタンパク分解酵素です。歯周病菌はこのタンパク分解酵素を大量に放出しているのです。」

 

つまり、オーラルケアが不十分で歯周病菌が多い人ほど、ウイルス感染のリスクが上がるのですね。

 

「しかも、ウイルスと細菌の“重感染”を起こすので、感染症状が悪化しやすくなります。だから、インフルエンザや風邪の感染予防対策では、毎日の歯磨きで悪玉菌のエサとなる食べカスや歯垢を取り除くことが重要なのです。この感染メカニズムは、インフルエンザや風邪にかぎらず、新型コロナウイルスにおいても同様である可能性があります」

 

徹底したオーラルケアは、未来の自分への投資。歯の健康からリフレッシュ、さらには生活習慣病や感染症の予防まで、心と身体と人生にいいことがたくさん自分に返ってくるのですね。

 

「口は全身から見たら小さな器官ですが、私たちの健康と毎日の幸せを支えてくれるとても大切な存在。今日のケアが、未来の安心と幸せにつながると考えて、オーラルケアを楽しみながら続けてほしいと思います。」(取材・文/麻生泰子)

 

大阪大学歯学部教授

天野 敦雄 あまの あつお

1984年に大阪大学歯学部を卒業し、2011年より大阪大学大学院歯学研究科予防歯科学分野教授を務める。予防歯科学、口腔感染症の感染制御、病原細菌の細胞内輸送を専門とし、よりよく”生きる、食べる、暮らす“の実現へと導く。

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