かけがえのない命のために



ある日、突然、どこにいても誰にでも起こりえる突然心停止。日本国内での年間発生人数は、2万人とも3万人ともいわれていますが、その中からの救命率は5%に満たないのが現実です。

 

もし、あなたにとってかけがえのない人が目の前で倒れたら、あなたは何が出来ますか?

 

突然の心停止の多くは、心室細動と呼ばれるものが原因です。心室細動になると、心臓が不規則に痙攣するような状態となり、血液を全身に送り出す心臓本来の役目であるポンプ機能を果たすことが出来なくなります。心室細動から心臓を元にもどすために有効な唯一の方法―それがAED(自動体外式除細動器)による電気ショックです。

 

 

AED とは

 

心停止によりポンプ機能を果たさなくなった心臓に電気ショックを与え、正常な状態に戻す装置です。

 

操作方法は音声ガイダンスにより指示され、電気ショックが必要かどうかもAEDが判断します。高度な専門知識は必要なく、誰でも安心して使うことの出来る装置です。

 

 

子どもたちの突然心停止~心臓しんとうをご存知ですか?

 

突然心停止は、大人だけのものではありません。ちょっとした衝撃で発生する「心臓しんとう」と呼ばれる現象は、胸の骨がやわらかい子どもに発生しやすいといわれています。「心臓しんとう」は、心臓の直上に、あるタイミングで衝撃が加わると、心臓が不整脈(心室細動)を起こす現象です。そのまま放置すると心臓が止まって、突然死に至ることもあります。

 

例えば、野球やサッカー、ホッケーなどのスポーツを行っている最中に、ボールが胸に当たって引き起こされたり、兄弟げんかの小突き合いや空手の練習中に発生したり、日常の中で発生する可能性が高いのです。「心臓しんとう」が発生したら、ポンプ機能を果たさなくなった心臓に電気ショックを与えて、元の状態に戻す除細動が必要になります。

 

 

一般市民によるAEDの使用

 

2004 年7月1日から、医師や救急救命士に限られていたAEDの使用が、現場に居合わせた一般市民にも許可されるようになりました。これを機に、多くの人が集まる球場や公共施設、また学校や一般企業などへの設置が進んでいます。

 

一般に、救急車が現場へ到着するまでには平均6分かかるといわれています。しかし心停止後、1分毎に救命率は10%の確率で落ちていき、5分を過ぎるとたとえ命が助かったとしても、後遺症の残る可能性が高くなるといわれています。

そのため、倒れた人のそばにいる人、つまり一般市民が行うAEDを含めた心肺蘇生が、大変重要になるのです。

 

 

救命の連鎖~ある高校生の救命の現場から

 

2007 年4月30日、ある高校球児が高校野球の春季地区予選の最中に、ピッチャーライナーを胸に受け心臓しんとうが発生、心肺停止状態に陥りました。たまたま観戦に来ていた非番の救急救命士が心肺蘇生法を行うと同時に、校内に設置してあったAEDを持ってくるように指示、迅速な対応が功を奏し、救急車が到着する頃には倒れた本人は意識を取り戻していたという事例が報道されました。この高校球児は1週間ほどの入院後、何の後遺症もなく野球部に復帰、現在もピッチャーとして活躍を続けているそうです。この高校球児が一命を取り留めたのには、様々な理由がありますが、一般に言われる“救命の4つの鎖”がすべて繋がっていたこともあると考えられます。倒れている人を見つけたら、必ず行う4つのステップ(救命の連鎖)があります。

 

1. 迅速な119番

2. 迅速な心肺蘇生

3. 迅速な除細動(AEDの使用)

4. 迅速な高度救命処置(救急隊への引渡し)

 

心肺停止状態から心臓を元にもどすにはAEDが必要ですが、AEDを誰かに持ってきてもらうまでには1.の“救急車を呼ぶこと”、そして2.の“胸骨圧迫(心臓マッサージ)を含んだ心肺蘇生法を行うこと”が重要です。

 

この高校球児のケースからいえることは、たまたまこれらのステップを熟知している救急救命士がそばにいたことと、倒れた現場からそう遠くない位置にAEDが設置してあったとことが、救命の大きな要因となったと言えますが、ここには私たちの社会に応用が可能な、救命のキーワードが隠されています。もし、私たちひとりひとりが、これらのステップを習熟し、AEDがそばにある環境を作ることが出来たら、私たちはかけがえのない命を、“奇跡”によってではなく、“当たり前に”救うことが出来るのです。

 

 

フィリップスの活動

 

フィリップスでは、少しでも救命率の向上に貢献するために、AEDの普及を通じてさまざまな活動を行っています。

 

一般の人に対し、処方箋がなくても購入が出来るよう、量販店でAEDの販売を開始したり、様々な団体が主催するマラソン大会などにAEDを貸出したり、また心肺蘇生方法を含めた救命に関するセミナーを開催するなど、少しでも多くの方に、心肺蘇生法を学ぶことの大切さ、AEDを設置することの意味などを理解いただくため、今日も活動しています。

 

フィリップスのハートスタートAEDは、初めてAEDを使用する方にも安心して使っていただけるよう、様々な工夫がなされています。