転用
転用とは、廃棄物を高品質で環境的価値がある新しい原材料や製品に作り替えるリサイクル処理です。専門的にはアップサイクリングとも呼ばれます。アップサイクリングは、従来のリサイクリング(またはダウンサイクリング)とは異なり、元の材料組成の価値を下げないので、再利用オプションに近いと考えられています。また、原材料の最適化を重視した技術なので、循環型経済環境で支持されています。次に、従来の廃棄物の流れに付加価値を与えて、廃棄物を他の用途に使用できる優れた原材料に変える例を 3 つご紹介します。
ファッショナブルな消防ホース
ファッションブランドの Elvis & Kresse が、廃棄する消防ホース、オークションバナー、軍事用パラシュートのシルクなどの産業廃棄物を回収して、ベルト、バッグ、財布などの高級装身具にアップサイクリングするビジネスモデルを構築しました。この企業は、消防署などの公共機関、製造業者、小売業者と協力して、無料の原材料である廃棄物を利用し、その代わりとして利益の 50% をチャリティーに寄付しています。 転用とは、廃棄物を高品質で環境的価値もある新しい原材料や製品に作り替えるリサイクル処理です。専門的にはアップサイクリングとも呼ばれます。 ほとんどの原材料は、洗浄してから新しい製品に作り替えられます。たとえば消防ホースは、磨かれて、鮮やかな赤色のゴムとナイロンのコアがむき出しになった状態から、カットされ、リベットで留められ、縫い合わされてベルトになります。現在リサイクルされていない珍しい原材料の利用法を見つめるという Elvis & Kresse の決断により、2007 年の設立以降、およそ 250 トンの産業廃棄物が廃棄場行きを免れています。 Elvis & Kresse は、現在、事業拡張と家庭用品などの新規市場への参入を計画しています。また、アップサイクリング処理で出た残材を新製品に組み込んで、廃棄物をさらに減らす取り組みも行っています。
トマトベースの自動車部品
Ford と Heinz は、自動車部品用の新しい複合材料のベースとして廃棄するトマトの皮を使用できるかどうか、その実現可能性を調査しています。Ford の研究者は、トマトの繊維の耐久性をテストして、配線用のブラケットや収納ケースに使用できるバイオプラスチックになるかどうかの確認を進めています。 Heinz では、トマトケチャップ製品の製造で使用する年間 200 万トンものトマトから出る皮、茎、種をアップサイクリングおよび転用するための斬新な方法を探ってきました。Ford とのコラボレーションにより、この問題を解決できるかもしれません。この研究は、まだ初期段階ですが、テクノロジー変換プロセスの有効性は実証されています。 この実験は、Ford において、持続可能で軽量な植物由来のプラスチック複合材料を開発して製造工程での石油化学製品の使用を削減する大規模な取り組みの一環として進められています。バイオ素材には、現在、もみ殻から作った電気部品用のカウルブラケット、大豆から作ったシートクッション、セルロース繊維で強化されたコンソール部品などがあります。
漁網から床材へ
廃棄された漁網が、Net-Works というプロジェクトのもと、カーペットタイルに生まれ変わっています。このプロジェクトは、Zoological Society of London、Project Seahorse Foundation for Marine Conservation、糸メーカーの Aquafil、カーペットメーカーの Interface が共同で進めています。目的は、海洋廃棄物の削減だけでなく、海沿いの世界的な最貧困地域にある漁場に新たな収益源を提供することにあります。 漁網はナイロン製なので、カーペット用の糸を製造する最適な原材料になります。Interface は、この廃棄物を回収することが、包括的な閉ループ型ビジネスモデルを確立する機会になると考えました。そこで、糸メーカーの Aquafil とともにアップサイクリング処理を実現して、漁網に限らず、使用済みカーペットの繊維や産業廃棄物の端切れからも廃棄ナイロンを回収し、元の繊維と品質も性能も変わらない 100% リサイクルナイロンを製造できるようにしました。 Net-Works プロジェクトの初の試験プロジェクトは、2012 年、フィリピンのダナジョンバンクに近い 4 つの漁場で始まりました。最初の 1 か月で、再処理用の網を 1 トン回収しました。その後、プロジェクトが拡張されて、参加する地元コミュニティの数も増加しています。さらにインドや西アフリカなどの他の地域にも拡大したいと考えています。 循環型経済では、物理的な原材料の共有に重点を置き、消費者が製品を完全に所有するのではなく、使用することで得られるメリットに代金を支払うという、互いに連携した消費形態を取ります。この形態で企業は、リースや使用契約を通じて製品の使用権を販売するので、製品のライフサイクル全体を通して所有権を維持し、メンテナンス、修理、再利用を通じて製品の性能を拡張できます。