Healthy Japan

慢性閉塞性肺疾患(COPD)啓発活動

再入院率の軽減をめざして

フィリップスは、「2025年までに30億の人々の生活を向上させる」をビジョンに掲げ、健康な生活、予防、診断、治療、ホームケアにいたるヘルスケア・プロセスのすべてにイニシアティブを持ち「もっと健やかな未来へ」をコンセプトとして、すべての人の健康に貢献していきたいと努めております。


2017年よりNPO法人 日本呼吸器障害者情報センター(J‐BREATH)とともに、呼吸器疾患「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」の啓発活動を開始しました。本活動は、COPD治療に幅広く用いられる在宅酸素療法の治療器(酸素濃縮装置)の取り扱いをフィリップスが日本で開始して10年の節目を機に行いました。11月15日の「世界COPDデー」に合わせ、専門医、管理栄養士の先生方の協力のもと、COPD患者さんの栄養食事療法をサポートするためのオリジナルレシピ「COPD患者さんのおうちごはん」を開発・作成し、同年11月に発表しました。

COPDとは、長期間にわたる喫煙習慣などで生じる炎症性疾患です。重症化すると、自力での呼吸が困難になったり、慢性の咳や痰をもたらすなど、著しくQOLの低下する疾患でもあります。現在の国内患者数は25万人超に上るほか、国内における潜在患者数も500万人以上と推定されており、年々進む高齢化に伴い、患者数、死亡者数のさらなる増加が懸念されています。

動画:COPDと上手に付き合うために~再入院を防ぐために気をつけること~

COPDと上手に付き合うために~再入院を防ぐために気をつけること~
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手軽に効率よくエネルギーアップ、患者さんを“食からケアする”レシピ集

COPD患者さんにとって労作時に酸素を効率良く体の中に取り込む呼吸法が必要となるため、呼吸リハビリテーションの実施法を学びながら、同時に筋肉をつけるための栄養指導を受けることが重要です。国内COPD患者さんの約85%が“痩せて息切れをもたらす”肺気腫型に当たりますが、栄養障害は生命予後が悪くなったり再入院率の上昇をもたらす可能性もあります。

そこでCOPD患者さんの栄養食事療法をサポートすることを目的に、専門医や管理栄養士の協力のもとレシピ集「COPD患者さんのおうちごはん」を開発・作成しました。和洋中を織り交ぜた、全12レシピ(基本献立52品、変化献立例45品)と間食6品からなるラインナップで、COPD患者さんの体重減少を防ぐための、高エネルギーなレシピを考案しました。

NPO法人 日本呼吸器障害者情報センター 理事長 遠山 和子

NPO法人 日本呼吸器障害者情報センター 理事長 遠山 和子
東京女子医科大学 八千代医療センター 呼吸器内科教授 桂 秀樹 先生

東京女子医科大学 八千代医療センター 呼吸器内科教授 桂 秀樹 先生

「COPD患者さんの体重減少を防ぐには、高エネルギー食を効率的に摂ることが大事です。運動療法と栄養療法を組み合わせることで、病状の安定や急性増悪の回避が期待でき、予後の改善をもたらす可能性も高いと言えます」
レシピを監修した、東京女子医科大学 八千代医療センター 呼吸器内科教授 桂 秀樹 先生は、COPD治療における栄養食事療法の重要性について、「深刻な疾患であるにもかかわらず、医療者を含む多くの人が、その実態を理解し切れていないのが現状です」と語られました。
COPD患者さんは、肺機能の低下により、呼吸時のエネルギー消費量が多くなるため、健常者に比べて体重が減少しがちです。そのため、健常者より多くのエネルギー摂取が必要となる一方、食事の際の息苦しさなどで十分な栄養を確保できていない現状があります。

「一般的にCOPD患者さんは、健常者の約1.5倍のエネルギー量が必要とされます。もちろん量を増やせば高いカロリーが摂取できますが、患者さんはそんなに多くの量は食べられません。そこで大事なのが、バランスよく、しっかりとカロリーを摂取するための栄養食事療法です。日本におけるCOPDの栄養食事療法はまだ馴染みが薄いのが現状ですが、この活動を通じて医療者も患者さんも、その重要性をもっと認識してほしいと願っています」
「COPD患者さんのおうちごはん」 レシピ例

また、レシピを開発した駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 教授 田中 弥生 先生(現:関東学院大学栄養学部管理栄養学科)より、COPDレシピのコンセプトやカロリーアップのポイントについて説明いただきました。その中で「バランスの良い“高脂肪食”を積極的に摂取することが大事」と強調されていました。
「COPD患者さんに最適なのは、炭水化物ではなく高脂肪食です。COPDのための栄養治療の現場では、脂肪主体の栄養補給が最も有用であることが報告されています。一般的に、高カロリーを摂取するには炭水化物が良いと考える人が多いですが、実は炭水化物を食べるほど体内のCO2が貯留し、呼吸不全を引き起こしやすくなる。一方、高脂肪食にはCO2の産生、貯留を抑制する効果もあります」
駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 教授 田中 弥生 先生(現:関東学院大学栄養学部管理栄養学科)

駒沢女子大学 人間健康学部健康栄養学科 教授 田中 弥生 先生(現:関東学院大学栄養学部管理栄養学科)
登壇者
今回開発・作成したレシピは、この“高脂肪食”をテーマに、家庭で一般的に出されている食事に、カロリーを上げる工夫を盛り込んだもの。介護する家族の負担を増やすことなく、患者さん自身も食事を楽しみながら、無理なくエネルギーを摂取し、健康状態を維持できるようなサポートを目的としています。