日本の代表的なテーマパークのひとつが、AEDとして知られる医療機器を追加導入し、来場者の医療サポートを積極的に行っています。
人が目の前で突然倒れるというのは、誰にとってもぞっとするような事態です。その原因が心臓である場合はなおさらで、心臓突然死は、年齢を問わず誰にとってもこのような事態を招く原因の一つとしてよく知られています。そういった中、人が多く、不慣れな環境にあっても、助け(AED)がすぐそばにあると知っていれば、誰にとっても心強いものとなります。
このため、富士山の山麓近くに位置し、人気の巨大アミューズメントパーク、富士急ハイランドを運営する富士急行は、来場者の命を守るために積極的な取組みを始め、園内に自動体外式除細動器(AED)を適正に配置する方法についてフィリップスジャパン社によるアドバイスを受け、安全確保策の強化をすすめています。AEDは心拍リズムを診断し、必要であれば正常な機能を取り戻すために電気ショックを施す、携帯型医療機器です。AEDは使い方も簡単で、AEDが起動すると一連の処置を音声で案内してくれるのですが、それでも使用することに躊躇する人が多いと言われています。
AEDは日本に2004年に登場し、一般的にオフィスビルや公共施設などに設置されており、現在では日本中に約63万台、約1億2800万人の人口において203人に1台のAEDが設置されています。消防署や日本赤十字社などは、地域のイベント等を通じて、AED使用方法を含む心肺蘇生法を普及のために日々努力しています。
フィリップス社はAEDにおいて、高い技術と実績を持ち、つい先頃そのハートスタートシリーズの150万台目を富士急ハイランドに設置しました。雨降る秋の午後、アメリカでEMT-BasicおよびParamedicとして勤務し、日本でも救急救命士の資格を持つフィリップスジャパン社の臨床スペシャリストが、その広大なアミューズメントパークの中で適正配置の視点からAED設置場所を選定しました。
心臓突然死の典型的なケースでは、パークの従業員、患者の家族や友人、そこに居合わせた人たちはどれくらい早く、救護にあたる必要があるのでしょうか?
「心臓突然死が起こってからAEDが使用できるようになるまでの理想とされるタイムリミットは、5分間です」というのが彼の回答でした。「データによれば、AEDの入手までに最適な時間は2分間(片道1分)です。距離で言えば、80mなら安全と考えています。もしAEDを使用するまでに5分以上かかれば、患者の生存率は50%以下に低下します。その後、1分過ぎるごとに生存率は10%ずつ低下します。」 さらに、彼は付け加えます。「そのため、AEDがどこに設置されているかをはっきりと知っておくことは、とても重要です。もしAEDをあちこち探し回るようなことになれば、患者の蘇生率に重大な影響を与えることになります。」
しかしながら、日本における実際のAED使用状況はまだまだ低く、わずか約4%とのことです。「誰かが倒れるのを目撃した後、AEDを用いて救護にあたった人の割合です。つまり、今や多くの場所にAEDが設置されているとは言え、それがどこにあるか、またどう使うかを知っている人はわずかだということです。」
また注目すべきことは、オフィスビルのような施設の多くは、たとえ10階に及ぶ高さのビルでも設置されているAEDはわずか1台で、推奨される5分間以内に救護することが困難な場所もあります。「富士急ハイランドは非常に広いことを考慮し、適正配置を目指す設置プランを提案します。私が今日ここに居るのは、そのためです。」
日本の119番やアメリカの911番のような救急システムは、よく知られていますが、富士急ハイランドのケースでも同様に、来場者が園内の従業員に状況を知らせるとAEDはじめ、救急車の手配など、救護を必要とする人に最大限のサポートができるシステムが不可欠である、と彼は言います。「ですから、私は富士急ハイランドの従業員向けに緊急対応システムを提案する予定です。この考えは、重要なポイントであり、今後さらに必要とされるでしょう。ちなみに、私の提案はAEDガイドラインと我々の経験に基づいたものになります。」 また、この取組みによって、患者の家族やほかの来場者たちも、救護のためにAEDを使用したいと思うようになるかもしれない、と彼は想定しています。
富士急行の担当者、内藤大介氏は、園内のAED適正配置を目指すことで緊急医療サービスの強化を決断した理由を、こう話します。
「富士急ハイランドがある地域は、毎年約200万人の観光客を集めています。その中でますます増えているのが海外からの観光客で、特に春にはその割合は、来訪者の20%を占めます。また、大型観光バスに乗って大人数のグループも増加傾向にありますが、個人旅行者や家族連れがより一般的です。」
内藤氏によれば、富士急ハイランドには急に具合が悪くなった来場者をケアするための救護室が既に設けられており、患者の状態が深刻な場合は救急車を呼ぶことも可能です。現在、救護室内にはAEDが1台あり、近接のフジヤマミュージアムとふじやま温泉にも約3年前にAEDを設置しています。また、5年前から新人スタッフ対象にCPRとAEDの使用方法について、消防署による3時間の必修コースを受講も行っています。
富士急ハイランドがフィリップス社のAEDを選んだ理由を聞くと、内藤氏はこう答えました。 「フィリップス社の機器はスタイリッシュかつコンパクトで、誰にでも使いやすくできています。世界中で使用されていることもあり、海外からのお客様にもなじみがあると思います。そういったところに良い印象を持ちました。
内藤氏によれば、富士急ハイランドの取り組みにより日本中の多くの施設にAEDを適正に配置する動きが広がれば良いとのことでした。彼は、富士急ハイランドを訪れる来場者へ向けたメッセージを、次のように語っています。「このAED適正配置を通じて私たちは、富士急ハイランドを訪れるお客様を支えるために、最良の医療システムを構築することを目指しており、海外からよりたくさんのお客様をお迎えする準備をしています。この取り組みによりお客様全員がより安心し、リラックスして過ごし、楽しい思い出を作ってくださることを願っています。」
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