最近は著名人が自らの乳がん体験をブログなどで公表し、注目を集めています。中には30歳代前半で乳がんにかかった人もいることから、若い女性で「自分は大丈夫だろうか」と心配したり、検診方法に疑問を抱く人もいるかもしれません。
もちろん、40歳を超えたら2年に1度は必ず検診を受けていただきたい。検診を受けない年や検診の対象年齢に満たない人でも、しこりなどの異常に気づいた場合は、ただちに専門医を受診してください。また、親族に乳がんにかかった人が多くいる場合、40歳前から検診を開始した方がよい場合があり、かかりつけ医とご相談ください。
しかし、それ以外の若い女性が過度に検診を受けることは、あまりお勧めできません。マンモグラフィ検査では微量とはいえ放射線を被ばくしますし、他の検査方法を含め、がんではなくても精密検査が必要と判断される可能性があります。実際には問題ない状態であるにもかかわらず、「要精密検査」と言われれば、疑いが晴れるまで不安がつのるでしょう。
現在、がん医療は世界的に「個別化」へ向かっています。一律に治療方針を決めるのではなく、年齢や性別、家族歴、体質、ライフスタイル、がんの性格などさまざまな属性やデータを検討した上で、一人ひとりに適応した治療法を医療者と患者さんが一緒になって考える医療です。検診もこれと同じで、画一的に「すべての人がこの検査を受ければ安心」というものはありません。科学的な根拠に基づき、個別に最適なものを組み合わせて選択していくことが必要なのです。